クライアント名
株式会社和多屋別荘
エリア
佐賀県
導入時期
2021年 11月
導入内容
旅館内へのブックカフェ導入(約1万冊)・エスコート支援・文学賞の設立
導入場所
旅館内

Ⅰ. 先方のご要望

「旅館を泊まる場所から通う場所にしたい」「そして、嬉野の茶農家と店舗空間を共有した本屋を作りたい」これは、和多屋別荘の代表 小原社長からはじめて相談をいただいた際に共有されたビジョンです。
 
和多屋別荘様は、新型コロナウィルスのまん延により Withコロナの観光業の在り方や新たなビジネスモデルが求められる中、旅館を「泊まる場所から通う場所」へと転換するプロジェクトをスタート。そのなかで、時間を過ごす場所という機能を求めて「お茶と読書を愉しむための書店」の開業に至りました。

そして、2021年11月3日には日販が手掛けた書店「BOOKS&TEA 三服(さんぷく)」を含め7施設を同時オープンする運びとなりました。


Ⅱ. 解決方法と結果

佐賀県の嬉野という土地、そして和多屋別荘のなかにある書店として、どんなラインナップがふさわしいのか。
そう考え、「お茶からひろがる暮らし」として、日本茶文化・暮らしのきほん・暮らしの彩りという3テーマを設け、選書を行いました。

店名の「三服」というネーミングは、お茶の「一服する」から来ています。
和多屋別荘のなかで一息つける場所となり、チェックインの後や食事の前、湯上りの気持ちがいい時間など「滞在中のちょっとした時間に何度でも休憩しにきてもらいたい」という思いを込めています。
また、本のジャンルも入門から専門的なものまで段階を踏んで知識を深めていくという構成にしています。 
このように空間や体験のグラデーションを表現する考え方として「三服」と名付けました。

開業1周年での大きな挑戦として、和多屋別荘が主宰する温泉旅館発の新しい文学賞「三服文学賞」の企画・実装・ワークショップ・審査・授賞式に至るまで文学賞開催にまつわるすべてのディレクションも担当しました。
2022年11月~2023年3月に実施した三服文学賞は初回にもかかわらず、1,523名の方から計2,170作品の応募がありました。
文芸誌が主催する五大新人賞に匹敵する応募数となりました。

Ⅲ. ご担当者様の声

旅館というのは宿泊するためだけではなく、日本の伝統文化の集積地のようなものであると考えていました。そういった場所だからこそ、使いきれていない空間を「時間を過ごす場所」というキーワードで何かできないかと考えました。そこで、「泊まるから通う」をコンセプトとしたイノベーションプロジェクトの一環として「旅館に図書館のような書店を作る」という着想に至り、「BOOKS&TEA三服」を作りました。

「三服」オープン後、一番わかりやすいのは「朝のお客様の動きが変わってきた」ということです。今までは、お客様はチェックアウト後に売店で買い物をしてそのまま帰られていたのですが、横に「三服」がオープンしたことにより、チェックアウト後にお茶を飲みながら本を読まれたり、購入されたりするお客様が増えました。
「宿泊翌日は帰るだけ」という選択肢しかなかったところに、「本を読んで過ごす」という選択肢が増えたことが非常に大きいと考えています。
チェックアウト後だけではなく、チェックイン直後、夕食前後、就寝前など、さまざまなタイミングで「新しい体験」を届けられるようになったと感じています。

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