• 地域社会への貢献

ブックサンタの取り組み2023

| ブックサンタとは

2017年に開始したブックサンタ

「ブックサンタ」は、NPO法人チャリティーサンタ(以下、チャリティーサンタ)、日本出版販売株式会社(以下、日販)、株式会社リブロ(当時)の3社が連携して、クリスマスにできる社会貢献として2017年からスタートしました。「本を贈りたい」と思った人が本を購入すると、チャリティーサンタをはじめとした全国数百のNPOを通じて、子ども達へ本のプレゼントが届きます。現在、日販は協賛・協力という形で活動をサポートしています。
「ブックサンタ」公式サイト:https://booksanta.charity-santa.com/

 

2023年は12万冊を超える寄付が集まり、2017年のなんと150倍に

取り組み開始時の2017年は、日販グループ書店「リブロ」の58店舗でテストを行い、初年度にもかかわらず848冊の寄付が集まりました。ここで一定の成果を確認したため、2018年は他の日販グループ書店にも参加を募り、参加書店は200店舗まで拡大しました。さらに、2019年からは日販取引書店以外の書店様でも参加できるような仕組みへと拡大していきました。
2023年の参加書店は1,683店舗(前年比216%)、寄付冊数は128,000冊(前年比170%)を超え、冊数は2017年と比較して150倍以上となりました。

 

| ブックサンタ拡大に向けたサポート

①出版業界に関わる企業として、NPOの運営をサポート

出版業界に関わる企業として、日販では様々なサポートをしています。書店・取次の立場としての見解の共有、出版社様との仲介役、出版業界の最新情報の共有、日販グループとチャリティーサンタとの窓口などを担っています。

NPOと日販からの参加メンバー

 

②在庫強化の支援・商品の調達を実施

「ブックサンタ」は、書店店頭やオンライン書店で本を購入することで、子どもたちへ本の寄付を行うことができます。
小学生向け「推薦図書リスト」に載っている商品の欠品補充を、日販の発注代行サービス「リリーフA」でサポートするなど、在庫管理の面でも支援を行っています。
また、「ブックサンタ」サイト経由の寄付方法として、クラウドファンディングやWebサイトで本を指定する場合は、日販が本の現物を調達し、全国の指定場所に発送しています。

 

③書店やオウンドメディアを通じた企画認知の拡大支援

「ブックサンタ」をより多くのお客様に知ってもらうため、参加書店で発行されるレシートに「ブックサンタ」の案内を載せる、「ブックサンタ」関連情報のSNS発信に関するマニュアルを制作するなどして、書店での告知サポートを行っています。
また、日販が運営するLINEアカウント「ほんらぶキャンペーン事務局」では、「ブックサンタ」の情報を発信し、取り組みの内容を知ってもらうきっかけづくりを行っています。
お客様に「ブックサンタ」への寄付をより身近なものに感じてもらうため、作家・知念実希人さんが書店で寄付する様子を密着取材し、日販のオウンドメディア「ほんのひきだし」にて公開しました。
(ほんのひきだし)作家・知念実希人さんが書店で「サンタクロース」に!紀伊國屋書店新宿本店を歩いて選んだ10冊とは……?
https://hon-hikidashi.jp/book-person/22277/

 

④ 「ブックサンタ」活動への協賛と、組合員への周知

日販の労働組合である日販労組としてチャリティーサンタへ協賛しているほか、組合の広報誌で「ブックサンタ」活動の周知や、協力いただいた方の紹介を行っています。また、組合で定期的に実施しているセミナーでは、チャリティーサンタ・清輔夏輝代表の講演会も行っています。

実際にボランティアサンタとして子どもたちへ届ける活動に参加した組合員の皆さん

 

⑤日販グループ社員への認知拡大のため社内広報

日販グループ全体での「ブックサンタ」認知拡大を目指し、社内広報活動にも力を入れています。
2023年度は、「ブックサンタ」に関する社内イベントを開催したほか、グループ報「ism」でも「ブックサンタ」の特集記事を公開しました。記事では、「ブックサンタ」事務局メンバーが、「ブックサンタ」に関わりのある社員にインタビューを行うことで、これから関わりたいと思っている社員の参加を促しました。

 

 

| チャリティーサンタの声

チャリティーサンタ・清輔夏輝代表より

2016年、ネパールの山奥の村で、日販の若手社員の山本さんと偶然出会いました。数日一緒に過ごす中で、沢山の会話をし「日本に帰国したら一緒に何かできるといいね」と話し、お別れしました。

翌2017年、本当に山本さんから連絡が来て、初めてちゃんと日販のことを知り、書店業界の大変な状況も知りました。
私達が取り組む分野である「日本国内の子どもの貧困」でも大変な状況があり、「この状況を打開したい」という気持ちが重なりました。お互いに課題とできることを探っていく中で、ブックサンタのアイデアを閃きました。

何の実績もなく、うまくいくかもわからなかった状況で、当時のリブロ野上さんが「いい取組ですね。やってみましょう。」とすぐに賛同してくださった瞬間は、今でも鮮明に覚えています。また立上げに関わった数名での打ち合わせの際「この取組は良いものだからリブロや日販に留めず、どんな書店でも参加できるようにしよう」と話しており、それが現実となり多くの書店に参加頂いています。

しかし、取組が現在に至るまでには多くの困難と苦労の連続であり、最初の3年は赤字、現在も収支はギリギリの状況で運営しています。そんな中でも粘り強くサポートしてくれた日販の関係者や賛同書店さん、また数え切れない程の賛同する個人寄付者の皆さんがいてプロジェクトは成立しています。年々広がる賛同の輪をこれからも育て続け、毎年100万冊を贈ることができる規模に成長させていきます。
個人・法人・業界を問わず、応援していただけると有り難いです。

最後に個人的な話になりますが、私がはじめて経験したアルバイトは、地元の書店での教科書販売のための梱包作業でした。あれから20年以上が経ち、あの書店もブックサンタの評判が自然と届いたようで、参加してくれることになりました。私にとっても感慨深い取組に育っています。

 

 

| 日販担当者より

私は2021年に日本出版販売株式会社に入社し、そこで「ブックサンタ」の活動に出会い、子どもたちが本を必要としている声を知りました。
厳しい状況に置かれた子どもたちも本との出会いを待っていて、「ブックサンタ」はその声に応えることができます。その声に応えることに魅力を感じ、「ブックサンタ」の運営を担当しています。

素晴らしい文化・コンテンツは人の心に残り、人の心を動かし、心が動いた人がまた、人の心を動かしていくと考えており、「ブックサンタ」では、それをサポートすることができると思います。

私たち日販グループは、「人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける」を経営理念として掲げています。
これからも「ブックサンタ」の活動をサポートし、子どもたちの声を聞いていくことで、生活者と文化との接点を作ることを目指してまいります。

(日販 プラットフォーム創造事業本部 事業統括チーム 大塚)