第60回東海日販会総会を開催
東海日販会(世話人代表:宮川 源 株式会社鎌倉文庫代表取締役社長)は2月16日、名古屋市の名古屋東急ホテルで第60回総会を開催し、会員書店はじめ、出版社、日販関係者あわせて402名が出席した。
冒頭、宮川世話人代表が挨拶に立った。挨拶の要旨は以下の通り。
「東海日販会の60回という節目に代表を務めさせていただき光栄に思う。出版界は2015年、雑誌の低迷がますます顕著になり、コミックも含めて大きく数字が落ちた。世の中の趣味志向はますます細分化されており、これからは趣味志向や年齢などターゲットを絞り込んだ雑誌しか残らないのではないか。
一方、昨年の書籍の傾向として、『下流老人』『老後破産』等、老後の不安を提唱する本が売れた。将来を心配する日本人が、その不安に打ち勝つために「しっかりした読書」が必要とされる時が来ると信じている。SNSに大きく時間を取られてはいるが、本を読む習慣が人間にとって、不安に打ち勝つ手段になるということをアピールしていきたい。そして、我々の仕事が社会にとって有益なものだという誇りを失いたくないと考えている」
その後、昨年度の事業経過報告・会計報告が審議され、いずれも可決・承認された。
次に、①「世話人会」から「役員会」への名称変更、②会計年度・総会開催日の変更、③出版社世話人制度の廃止、を主な内容とする規約改正が審議され、可決・承認された。
また、規約改正に伴う新役員の発表が行われ、会長には、片桐 榮子氏(有限会社磨里書房代表取締役)が就任した。
続いて、片桐新会長が会長就任の挨拶に立った。挨拶の要旨は以下の通り。
「この度、東海日販会の会長という重責を拝命した。皆様のお力添えをいただいて少しでも会のお役に立ち、また女性初の日販会会長として新しい風を入れることができればと思っている。
アベノミクスによる経済政策、日銀のマイナス金利政策で株の乱高下も起こり、リーマンショックが頭をよぎっている。また来年4月には消費増税も控えており、出版物に軽減税率が適用されるかどうかが大きなポイントとなる。
今、出版業界は正念場に立たされていると言っても過言ではない。業界が生き残るためには、小手先ではない、仕組みを根底から覆すような改革が必要だと思っている。最後に、道をつないでいただいた前世話人代表の宮川氏始め、出版社世話人の皆様に、心から感謝申し上げたい」
その後、今年度の事業計画案・予算案が審議され、いずれも可決・承認された。
続いて、平林 彰 日販代表取締役社長が来賓を代表して挨拶し、全国日販会初の女性会長となる片桐新会長に対しお祝いの言葉を述べた後、日販の中期経営計画「Breakthrough」について以下のプレゼンを行った。
「書店が持つ価値を更に高めていくために、『個客接点の拡大』と『新空間の創造』の2つのテーマに取り組んでいきたい。
『個客接点の拡大』については、2人に1人がスマートフォンを持っている現在、ネットを使って個客に本の情報を届ける手段として、書籍情報サイト『ほんのひきだし』を開設した。
また、書店に来店した個客の買上をさらに上げるため、店頭端末用アプリ『attaplus!』の機能をさらに充実させた。店頭の在庫を調べられることで、書店と個客の接点の拡大を目指していく。
『新空間の創造』については、『人・街に合わせて店をデザインする』というコンセプトのもと、文禄堂荻窪店・高円寺店においてリノベーションを行った。
日販は今後も、書店の客数増、本の売上増に取り組んでいくことを改めて宣言するとともに、社内体制の強化や、業界内での協業化にもしっかりと取り組んでいきたい」
総会前には、商談会「第5回東海ブックフェス2016」を開催。商談の中で書店員が「売りたくなった本」を投票する「東海ブックフェス大賞2016」には、飛鳥新社の『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(カール=ヨハン・エリーン著、三橋美穂監訳)が選ばれた。また、普段は新刊の影に隠れてスポットライトが当たりにくいロングセラー商品の中から投票する「掘り起こし大賞」には、KADOKAWAの『この闇と光』(服部まゆみ著)が選ばれた。
新役員
会長 片桐 榮子 有限会社磨里書房代表取締役
副会長 林 茂夫 松清本店合資会社代表社員
副会長 水野 賢一 有限会社白沢書店代表取締役
幹事 大橋 徹太郎 有限会社春広堂書店代表取締役
幹事 木和田 泰正 株式会社精文館書店代表取締役社長
幹事 佐藤 光弘 株式会社光書店代表取締役社長
幹事 水野 雄二 有限会社水野興産代表取締役
会計 三輪 明邦 株式会社泰文堂取締役
会計監査 林 昭宏 株式会社いまじん白揚代表取締役社長
会計監査 吉田 哲夫 有限会社文正堂書店代表取締役
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