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2016年度(第69期)中間決算概況

■2016年度(第69期)中間連結決算は減収減益

○日販グループ(連結子会社数:27社)の2016年度中間連結決算(4-9月期)の売上高は297,036百万円で前年に対し2.7%減、8,142百万円の減収となりました。

○損益につきましては、書籍、開発商品は増収となりましたが、雑誌の落ち込みに歯止めがかからず、更に書店店頭の売上減少や輸配送効率の悪化がマイナスのインパクトを与えました。固定費の削減に努めましたが、リカバリーには至らず、営業利益は761百万円(対前年33.6%減)、経常利益は964百万円(同30.2%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は75百万円(同73.2%減)、205百万円の減益となりました。

○日販単体の中間決算は減収ながら増益となりました。しかしながら書店子会社の不採算店舗撤退や新規出店にかかるコスト増、急激な円高の影響により、中間連結決算は先に記載の通り減収減益の結果となっております。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益は過去10年間で最も低い水準となりました。

※新規連結子会社は2016年1月に設立、5月より店舗譲渡を受け営業を開始した(株) Y・space、2016年7月に(株)クリエイターズギルドより会社分割した(株)ファンギルドの2社です。

①商品別店頭売上の概況

○雑誌は、定期誌・ムックともに店頭売上の落ち込みが続いています。定期誌全体の店頭売上は、対前年4.8%減と苦戦しておりますが、月刊誌の女性ファッション誌は、宝島社の好調な実績の影響を受け、同3.1%増となりました。女性ファッション誌が、店頭売上で対前年プラスになったのは、2011年以来5年ぶりのことです。  一方で、総合誌の店頭売上は、昨年芥川賞受賞作を掲載した「文藝春秋」(文藝春秋)が好調だった影響により、  対前年12.1%減、ムックは、昨年の「月刊文藝春秋9月号特装版」(文藝春秋)や「妖怪ウォッチ」関連本の影響もあり、同3.5%減となりました。

○書籍は、児童書と学参が店頭売上で対前年プラスと、前期から好調を維持しております。文芸書は、昨年の話題作『火花』(文藝春秋)の影響を受けて、対前年10.3%減と苦戦し、書籍全体では同4.5%減となりました。文庫は、『小説 君の名は。』(KADOKAWA)や『祈りの幕が下りる時』(講談社)などの人気タイトルが売上を牽引し、9月単月では、対前年3.1%増と、3年8か月ぶりにプラスに転じました。

○コミックスは「おそ松さん」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(ともに集英社)などの盛り上がりはあったものの「アオハライド」「オオカミ少女と黒王子」(ともに集英社)などの大型タイトルの完結の影響により、店頭売上は対前年4.8%減となりました。

○開発商品は、ブランドアイテム付商品である「LESPORTSAC 2016 COLLECTION BOOK Style1・2」「THE IL BISONTE BIBLE」(ともに宝島社)や、人気シリーズとなっているパン型付きレシピ本の第3弾「日本一簡単に家で焼ける食パンレシピBOOK」(宝島社)など、実用性の高い商品の店頭売上が好調でした。また、「小説おそ松さん 前松 缶バッジ付き限定版」(集英社)をはじめ、「おそ松さん」関連商品や、DVD付の特装版コミック「宇宙兄弟 29巻」「亜人 8巻 」(ともに講談社)などのアニメ関連商品も店頭売上を牽引しました。

②事業の概況

○PARTNERS契約店の132法人の実績は、書籍返品率は対前年0.6ポイント改善して37.7%、雑誌返品率は0.8ポイント改善して36.2%となりました。返品率30%未満は22法人です。書籍の収益改善率は0.3%に留まり、目標とは大きく乖離しています。下期は返品率改善を進めるとともに、High-Profit商品の点数及びPPI契約出版社のシェアを伸ばし、出版流通改革の目標で ある書籍の収益改善率4%を目指します。

○出版社34社ならびに日本雑誌協会の協力のもと、雑誌80誌・延べ136点という異例の規模で、定期誌時限再販企画「雑誌夏トクキャンペーン」を388店で実施しました。実施店の実売率が60.9%で、未実施店との差が5.5ポイント、実売伸長率が109.4%で、未実施店との差が3.4ポイントと、どちらも未実施店を上回りました。本企画は、雑誌の新しい売り方を考える取り組みでもありました。今後も恒常的な増売施策として取り組んでいきます。

○年齢別絵本企画「いくつのえほん」は参加店舗が940店舗から1,282店舗に拡大いたしました。また今期、子育て経験者からおすすめ絵本の投票を募る「赤ちゃんへ贈る絵本大賞」をスタートさせました。

○書店店頭で在庫検索と注文が可能なタブレット端末「attaplus!(アッタプラス)」の導入店舗と、Honya Club.comの機能をTSUTAYA取寄せサービスに利用いただいているTSUTAYA店舗は、合計で1,000店舗を超えました。書店と個客との接点をさらに深めることを目的としたスマートフォンアプリ「ほんらぶアプリ」を、2016年8月に先行店舗にてリリースしました。2017年3月には機能を拡張し、全国に拡大する予定です。このアプリには、お客様に合った本の情報やクーポンを受け取れる機能、店頭在庫の検索機能、取り寄せ機能などを搭載します。

○日販PBのパッケージ「Hmmm!?」は、13点の商品を発売し、導入店舗は752店舗となりました。書店の雑誌売り場で展開できる仕様になっており、新しい開発商品の展開方法を提案しています。第2弾として「Bluetooth対応スピーカー」「シューホーン」他、合計5点を11月下旬より順次発売予定です。さらに、ノートや色鉛筆など文具にも拡大していきます。

○文具パッケージ「Sta×2」は、導入店舗が187店舗となりました。本との相性が良く、高粗利商材であることから導入店舗は拡大しています。導入店舗の拡大により、数多くの店舗の売上・在庫データを収集できるようになりました。そのデータを活用することで、導入店舗に対してより精度の高い品揃えの提案が可能となりました。また自動発注機能により、発注作業の負荷を軽減できるパッケージとして支持されています。

○IT面では、書店業務のサポートシステムの開発を進めています。 10月からNOCS7の新機能として、日販が提案する企画商品の受発注を一元的に行えるサービスを開始しました。さらに、NOCS7・サポートCからの発注において、日販在庫数をリアルタイムに表示して、発注時点で商品の確約が可能となるサービスも開始しています。

○日販コンピュータテクノロジイ(株)では、自社で開発した体験イベントアプリケーション「おえかきパラダイス」を活用したイベントを、書店様や大型商業施設等12か所で実施しました。 また、人型ロボット「Pepper」の感情認識機能を使用して、おすすめ商品を紹介する「ロボシェルジュ」を開発し、書店様や一般の小売店様での利用が進んでいます。さらに「Pepper」を企業研修で活用するなど、ロボティクス事業を拡大しています。

○日販アイ・ピー・エス(株)は、海外駐在員向けの通販サイトCLUB JAPANの食品輸出が好調を維持しております。さらに、「National Geographic Magazine (US版)」などアメリカ誌の国内販売権獲得や、欧米への書籍の輸出拡大が、業績に貢献しました。

○出版共同流通(株)は、出版業界の物流コスト低減に向け、物流協業の拡大を図っています。(株)大阪屋栗田とは、昨年の返品協業拡大に続き、今年2月に書籍新刊の送品協業を開始しました。さらに、10月からは雑誌新刊の送品協業を開始しています。

詳細は以下PDFよりご確認ください。

2016年度(第69期)決算報告資料(PDF)