「出版流通改革」＝100年続く出版流通の未来に向けて～NIPPAN Conference2021開催に関するお知らせ～
日本出版販売株式会社（代表取締役社長：奥村 景二、略称：日販）は、“これからの出版流通の100年”を構築するために目指す「出版流通改革」の詳細について、5月28日（金）よりオンライン開催予定のNIPPAN Conference2021において発表します。
以下、当社が取り組む「出版流通改革」の背景と目的および骨子です。
＜「出版流通改革」の背景と目的＞
出版業界を取り巻くさまざまな変化の中で、昨今の出版マーケットはシュリンクを続け、2019年の販売総額は1兆2,360億円と、ピーク時の2兆6,564億円(1996年)と比較して、46.5％にまで落ち込んでいます(※１)。そのような中で、業界三者の多くのプレイヤーの収益は、非常に厳しい状況となっています。中でも、全国の書店軒数は減少の一途を辿っており、全国1,718の市区町村のうち、書店のない市区町村は392にも上ります(※2)。これに加えて、かねてより起きている出版流通における物流危機は現在も継続しており、当社における売上に対する運賃の割合は高騰し続けています。
※1 出典：出版指標年報2020年版（出版科学研究所） ※2 日販調べ
これらのことから、出版流通の持続性は危機的状況にあり、当社としても、全国津々浦々に出版物を届けるという使命を果たし続けることが難しくなってきています。出版物の販売総額が減少に転じて20余年、出版社様・書店様をはじめ、業界に関係する多くのプレイヤーの皆さまとともに未来を創るため、様々な施策に挑み続けてまいりました。しかし、特に昨今の流通問題の根本的な解決には至らず、出版流通を担う取次会社として深く反省をしています。
日本全国に、地域の人々に愛される書店があり、その書店に様々な出版物が並び、すべての人があらゆる出版物に自由に触れることができる環境は、日本文化の発展において欠かせないものです。
100年先の未来も、街に書店と本があり続ける世界を創っていくために、当社は、抜本的な「出版流通改革」に取り組んでいく決意を、ここに宣言いたします。
＜「出版流通改革」の骨子＞
改革にあたってのキーワードは「オープン」と「テクノロジー」です。当社は垣根を設けず、様々なプレイヤーやデータと「オープン」につながり、これを源泉にサプライチェーンの全体最適を実現します。そのためには、テクノロジーによるイノベーションが急務と捉えており、当社はテクノロジーへの投資を拡大します。喫緊のテーマは以下の通りです。
テーマ①：業界三者の収益を改善する
当社は、単品レベルのマーケット情報をネットワーク上で共有し、市場ニーズに基づいた生産・流通・販売を実現する戦略として「www.project（トリプルウィン・プロジェクト）」を2001年にスタートし、その後も、業界SCMの構築に取り組んでまいりました。“業界のデータをオープンにつなぐ”という想いは、当時も今も変わりありません。当社が提供しているマーケットツール「オープンネットワークWIN」に代表される業界横断の構想をさらに推し進め、各種マーケティングデータ・流通データをこれまで以上に幅広く、効果的に取り入れます。当社だからこそのデータベースを基盤に、AIなどの最新テクノロジーを活用したサービスを提供します。業界のロスやムダの削減と需要の創出によって、書店様・出版社様の収益改善を実現してまいります。
テーマ➁：ロジスティクスのテクノロジーを用いて持続的な配送を実現する
将来にわたり出版物を全国に届け続けるため、出版業界の配送プラットフォームのオープン化を目指します。業界の皆さまのご協力のもと、出版物の配送に関わるサプライチェーン上の制約を緩和することで、出版配送の効率化を図ります。加えて、出版物以外の様々な商材の配送に対しても、オープンな環境をつくることで、持続性をより一層高めます。既に当社では、全国エリア別の配送データの詳細な分析を行いました。この分析結果をもとに実証実験を開始し、持続的な配送の実現に向けた取り組みを拡大させていきます。
「出版流通改革」に関する施策や協業・提携に関しては、今後順次発表してまいります。またNIPPAN Conference2021では、「出版流通改革」の全体像とマイルストーンを提示しながら、具体的なプランを説明させていただきます。
日本全国、誰でも本を手に取ることができる書店が身近にある。どこでも同じ価格で本が買える。当社は、読者にとって当たり前のことを守り、街に書店のある風景を守り続けるため、「出版流通改革」の実現に邁進します。そして100年先も、すべての読者に本が届き続ける未来を創ってまいります。
＜NIPPAN Conference2021 ご案内について＞
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、例年開催している日販懇話会は中止し、5月28日（金）より、オンラインでの開催を予定しております。視聴方法などにつきましては、改めて、お取引先各社、メディアの皆さまに個別にご案内いたします。
■本件に関するお問い合わせ
日本出版販売株式会社 社長室広報課 金高・吉野
TEL.03-3233-3829 FAX.03-3233-6045
E-mail:press@nippan.co.jp