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2020年度 中間決算報告

経営成績

 

ハイライト
・営業利益、経常利益、中間純利益はいずれも赤字。
・返品率改善、物流コスト削減に取り組むも、当期発生の運賃値上げ負担により赤字脱却はならず。

 

 日本出版販売㈱は、2019年10月1日に持株会社体制へ移行し、日販グループホールディングス㈱に商号を変更しております。従来の日本出版販売㈱の事業の内、子会社管理および不動産管理以外のすべての事業を簡易吸収分割により、新設した完全子会社である日本出版販売㈱に承継しました。そのため、2019年度以前の経営成績はございません。

 日販の2020年度上半期の売上高は194,251百万円となりました。

 営業利益は、返品率改善と物流コスト削減に取り組みましたが、運賃値上げの負担が継続しており、112百万円の赤字となりました。営業外収益による経常利益押し上げはあるもののカバーには至らず、経常利益は20百万円の赤字となりました。

 特別利益50百万円、固定資産除却損等の特別損失163百万円及び法人税等を加減した中間純利益は84百万円の赤字となりました。

 ※管理会計ベースでの前年度比較は、PDF(ページ下部参照)に記載しております。

営業施策の概況

 業界三者で同じ方向を向き、出版流通改革に取り組む一方で、読者と本のタッチポイントをつくるための取り組みを行ってまいります。時代のニーズに即応した企画・サービスによってトップラインを維持しつつ、マージンUPのための施策・アイテムの提案によって書店様の損益構造の改善を実現します。

<お客様の変化に合わせた店頭施策>

ハイライト
・コロナ禍でライフスタイルや消費行動に変化が起き、本のニーズが高まっている。
・特に、コミックス、ビジネス書の売上伸長が顕著。

 

〇店頭の動向
 2020年4月~9月の店頭売上(対象店舗:日販取引書店におけるPOS調査店)は、対前年102.3%となりました。月毎に見てみると、緊急事態宣言が発令された4月を除き、すべての月で前年を超えています。
 客数・客単価に分解してみると、4月以降、休業店の影響もあり、客数は前年を下回っていますが、客単価は大きく上回っています。一方、営業継続店のみで見た場合には、客数は一時的に増加しました。
 コロナ禍の中で、お客様のライフスタイルや消費行動に変化が起き、本のニーズが高まったということがうかがえます。
 日販では、コロナ禍で見えてきた変化に合わせて、施策を提案しております。

〇コミックス施策「next move」
 コミックスの店頭売上は、5月以降、「鬼滅の刃」の影響を除いても前年を上回っており、ライフスタイルの変化で生まれた時間に、コミックスを読む人が増えていると推察できます。
 こうした背景のなか、「鬼滅の刃」に続く次なるヒット作を売場から育てる企画として「next move」を推進しています。今まさに読者が増えている作品を、アイライン展開で訴求する企画です。

〇ビジネス書施策「非接触型の立ち読みコーナー」
 ビジネス書も、5月以降、店頭売上が好調です。テレワークが浸透し、在宅時間を活用した自学自習にビジネス書が活用されていると分析しています。
 この傾向を受け、日販が実施するビジネス書の名著フェア「ビジネスセレクション」と、㈱フライヤーが運営する「本の要約サービスflier(フライヤー)」をコラボレーションさせた新たな読書体験「非接触型の立ち読みコーナー」を展開しています。作品に付けたPOPに記載されているQRコードを読み取ることで、「flier」に掲載されている同書の要約を閲覧することができます。非接触を求める世の中のニーズに合致した取り組みということで、複数のメディアに取り上げられるなど、話題を呼んでいます。

〇インターネット注文&店頭受取ツール「ほんらぶアプリ」
 お客様の「買い方」の変化に合わせたツールが「ほんらぶアプリ」です。緊急事態宣言が発令された4月以降、ほしい本をインターネットで注文し、お客様自身の都合に合わせて店頭で受け取るという利用シーンが増えています。
 「ほんらぶアプリ」は、店頭の在庫がわかり、お取り寄せもできるツールです。「お店での滞在時間は減らしたい」というニーズに応えられるサービスとして、今後も導入拡大を図ります。

<書店収益改善施策>

ハイライト
・マーケットインの推進、マージンの改善につながる施策を拡大。
・利益創出のため、文具雑貨や日販PB商品をご提案。

 

〇アドバンスMD/近刊予約
 アドバンスMD(書店様の店頭在庫の申し込み)については、初版2万部以上の銘柄の3割に対応しており、近刊予約(お客様の発売前予約)については、全新刊の8割が予約可能となっています。今後も、出版社様のご協力のもとで拡大しているJPROの銘柄情報を通じて「発売前の本を書店で注文出来る」状態をスタンダートにしていきます。

〇ReB∞T
 過去のヒット作の掘り起しを図る施策「ReB∞T」は、前期より取り組みを開始し、2020年9月時点で、延べ168タイトルまで拡大しています。取り組みの前後で、約3倍も売上を伸ばした銘柄もあります。今後も、マージン30%以上の企画としてタイトルを拡大していきます。

〇PPIプレミアム
 マージンを高める新しい取引が「PPIプレミアム」です。前期は、㈱ポプラ社と日販グループ書店でトライアルを実施した結果、取り組み対象の児童書ジャンルで、返品率を約6pt削減し、マージン率を5pt以上改善しました。今期は4社で取り組んでおりましたが、10月から新たに5社が加わり、現在合計9社との取り組みとなりました。今後も取り組みを拡大していく方針です。

〇文具雑貨・日販PB商品
 書店様の利益を創出することのできる文具雑貨や日販PB商品を提案しています。レジ袋の有料化に対しては、オリジナルデザインでつくれるエコバッグの販売をスタートしました。レジ袋が有料化した7月以降、特に売上好調で、累計出荷枚数は40万枚となりました。

 今期の書店店頭の売上動向は、本は学びや娯楽、あるいは癒しや勇気など、新型コロナウイルスで苦境に立つ人々のあらゆる希求に応えうる「生活必需品」であるということを示した結果と言えます。
 今後も当社は、本を必要するお客様ひとりひとりにお応えしていけるよう、時代や社会の状況に合わせながら、本とのタッチポイントをつくるための取り組みを行ってまいります。

 

詳細は以下PDFよりご確認ください。
2020年度 中間決算報告

※日販グループホールディングス株式会社の2020年度中間決算報告につきましては、こちらをご覧ください。