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2019年度 決算報告

経営成績

 日本出版販売㈱は、2019年10月1日に持株会社体制へ移行し、日販グループホールディングス㈱に商号を変更しております。従来の日本出版販売㈱の事業の内、子会社管理および不動産管理以外のすべての事業を簡易吸収分割により、新設した完全子会社である日本出版販売㈱に承継しました。そのため、2019年度の日販の経営成績は、2019年10月1日~2020年3月31日の下半期のみの成績として開示いたします。

 日販の売上高は213,674百万円、営業利益は72百万円の赤字、経常利益は営業外収益の計上もあり44百万円の黒字となりました。

営業施策の概況

 業界三者で同じ方向を向き、出版流通改革に取り組む一方で、トップライン維持と出版社様から書店様までそれぞれの収益改善のため、店頭活性化施策やマージン改善などの取り組みを行っております。

<トップライン維持のための取り組み>

〇書店様店頭施策
 2019年4月~2020年3月の店頭売上は、対前年98.8%となりました。前年超えには至りませんでしたが、ビジネス書で100.7%、コミックスで110.0%と、好調を維持しているジャンルもあります。
 店頭活性化施策である「書店祭」では、人気キャラクターとのコラボレーションなどを企画しました。年2回開催し、いずれも全国約1,000店舗で実施いただき、実施店における期間中の店頭売上前年比は、非実施店と比較して0.7pt高い結果となりました。
 また、今後需要拡大が予想されるトレンドテーマについて、既存のジャンルや分類を超えた棚を創り出す「recommend shelf(レコメンドシェルフ)」を展開しました。中でも注力したのは「こどもプログラミング本」です。2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることを受け、こども向けのプログラミング本をひとつのジャンルとして、書店様の売場に専用の棚を作り、売り伸ばしを図りました。「こどもプログラミング本大賞」という賞も設立し、ジャンルの認知拡大に取り組んでいます。

〇マーケット需要に基づいた仕入施策
 発売前の商品に対する書店様の申し込みを確約するサービス「アドバンスMD」は、実施銘柄と非実施銘柄を比較すると、発売2か月後の売上率は、実施銘柄の方が4.6pt高い結果となっています。
 お客様に対する予約を確保する「近刊予約サービス」では、現在、全新刊の約8割の予約が可能です。リブロなどの一部のグループ書店において、専用の告知物を用いて、お客様への予約促進を実施しています。

〇人と本の新たな出会いの場の創造
 新たな顧客体験を生み出し、リアル書店の価値を向上させることを目的として、本との出会いの場の創造に取り組んでいます。本と出会うための本屋「文喫」は「グッドデザイン・ベスト100」を受賞し、さらに特別賞である「グッドフォーカス賞(新ビジネスデザイン)」にも選出され、高い評価をいただきました。
 また、既存の販売ルートに留まらず他業種店舗への本の導入を行うことで、人と本が出会う場を拡大しております。2019年度の新規導入件数は373件となりました。

<収益改善のための取り組み>

〇高料率インセンティブの仕掛け販売
 過去のヒット作を集中販売し、売上の再燃に取り組む「ReB∞T(リブート)」では、高料率のインセンティブを付加し、店頭での多面陳列を徹底しています。例えば、『超一流の雑談力(文響社)』や『お金が貯まるのは、どっち!?(アスコム)』は、「ReB∞T(リブート)」として再度展開することで売り伸ばしを図り、多くの報奨金を書店様に還元することができました。2019年度の実施銘柄の点数は116点(43社)となりました。1度実施された出版社様の多くは、2点目、3点目と続けて実施していただいております。

〇低返品・高利幅スキームのトライアル
 書店様のマージンを高める新しい形の取引として、「低返品・高利幅スキーム」のトライアルに㈱ポプラ社様と取り組みました。グループ書店約90店舗で、同社の児童書を対象に、返品率目標の結果に応じて、書店様のマージンを改善する仕組みです。取り組み店における同社の児童書実績を前年と比較すると、返品率は約6pt減少し11.4%、粗利は5.3%の改善となり、確かな効果が見られています。早めの新刊情報提供による適正数仕入、店頭に必要な在庫を自動で欠品補充する発注代行サービス「リリーフA(エース)」の活用が、返品率削減と既刊商品の売り損じ防止に効果を発揮しました。この取り組みについては、他の出版社様にもご賛同いただいており、今後「PPIプレミアム」という名称で、拡大を進めてまいります。

〇買切スキームの拡大
 グループ会社の㈱MPDは、㈱蔦屋書店様とともに、書店様の粗利益率アップを目的として、書籍について、20%程度の返品枠を設けた買切スキームを開始しました。出版社様ごとの契約となっており、2020年3月末時点で6社と取り組んでおります。
 雑誌については、2017年より開始した買切スキームの取組規模を拡大し、219銘柄で実施しております。実施シェアは定期誌全体の約24%を占める結果となりました。
粗利益率アップのため、書籍・雑誌ともに実施を拡大してまいります。

〇高粗利商材の導入
 本との親和性が高く、高粗利商材である文具・雑貨の導入を推進することで、粗利改善を行っております。文具パッケージ「Sta×2(スタスタ)」は導入店舗数が389店に拡大し、日販オリジナルブランド「Hmmm!?(ん!?)」やカレンダー、日記・手帳などの PB 商品の開発にも力を入れました。2019 年12月には、「ここから始まる、大人の嗜み」をコンセプトに、大人の嗜みとして所有してみたいアイテムを安価かつ高品質で提供する新ブランド「Greeful」が始動しました。全国150店舗で販売しています。

詳細は以下PDFよりご確認ください。
2019年度 決算報告

※日販グループホールディングス株式会社の2019年決算報告につきましては、こちらをご覧ください。