2026年 上半期ベストセラー総合第1位は
『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)
■ランキング全体の傾向
昨今、「キャンセル界隈」(※1)や「メンパ」(※2)といった言葉が注目され、心地よさや多幸感への関心の高まりなどからも、「無理をしすぎないこと」や「心の居場所」を重視する傾向の強まりがうかがえる。
2026年上半期ベストセラーにおいても、具体的な根拠や実績に基づき、無理なく成果を得るための知識やテクニックを紹介する作品や、身近な共感を通じて、人とのつながりや安心感を与えてくれる作品が、多くランクインする結果となった。
※1 キャンセル界隈:予定などを無理にこなさず、自分の気分や心身の状態を優先して「キャンセルすること」への共感を共有するSNS発の価値観
※2 メンパ:メンタルパフォーマンスの略称。心理的負担を最小限に抑えつつ、心の平穏や満足感を重視する価値観
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■ジャンル別の傾向
【総合】人生が変わるテクニックを紹介『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』が総合第1位に!
2026年上半期ベストセラーは『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』が総合第1位に輝いた。本書は、ハーバードやスタンフォードといった世界中の研究機関で実証された112個の「習慣化テクニック」をまとめた1冊で、累計発行部数は58万部を突破(電子版除く)。大きな目標を達成するためには小さな習慣の積み重ねが必要であるとし、習慣が定着しないのは、意志の弱さではなく“変化を嫌う”脳の初期設定が原因であると解説。気合いや精神論ではなく、著名な研究機関によって裏付けられた科学的根拠をもとに、ラクに、自然に、習慣化できるテクニックを紹介している点が、「確実に効果的な方法を無理せず続けたい」という現代人のニーズに応え、大きな支持を集めたと考えられる。ビジネス書が総合第1位に輝いたのは、2022年上半期ベストセラーの『人は話し方が9割』以来、4年ぶりのことである。
第2位にはホラー作家・雨穴の「変な」シリーズの最新作『変な地図』 がランクイン。シリーズの主人公・栗原の大学生時代を舞台に、正体不明の古地図を握りしめて不審死を遂げた祖母の死の真相に迫るストーリー。本書では、図を多く用いることで複雑な情景をイメージしやすくし、シリーズの特徴であるモキュメンタリー(※3)の要素を踏襲しながらも、人間ドラマもある本格ミステリー小説となっている点が特徴である。
第3位には、2026年本屋大賞受賞作『イン・ザ・メガチャーチ』がランクイン。本書は、集団心理や人の原動力とは何かを、「ファンダム経済(※4)」を「仕掛ける側」、「のめり込む側」、「かつてのめり込んでいた側」という3つの視点から描いた作品。ファンダム経済が“物語”を使っていかに作り出されているかというマーケティング描写が、フィクション作品でありながらリアルであると話題となった。また、心の居場所や他者とのつながりを求める登場人物たちが、現実の不安や孤独から逃れるために“物語”に拠り所を求め、ファンダムというコミュニティの中で、「信仰」にも似た帰属意識や熱狂を生み出していくさまが、現代人の共感を集めたと考えられる。
※3 モキュメンタリ―:フィクションをドキュメンタリーのように見せかけて演出する表現手法
※4 ファンダム経済:特定の“推し”を熱狂的に支持する推し活によって成長する経済圏
【単行本フィクション】雨穴人気が継続。「変な」シリーズ最新作が第1位に!オードリー若林初の小説『青天』もランクイン!
総合第2位にもランクインした雨穴のシリーズ最新作『変な地図』が単行本フィクションジャンル第1位となった。「変な」シリーズの最新作である本書は、読者が図を読み解きながらその場で謎解きゲームに参加していくような没入感と、ミステリーだけではない人間ドラマが人気の要因と考えられる。
第3位は『成瀬は都を駆け抜ける』がランクイン。「成瀬」シリーズの完結作である本書では、高校を卒業し、晴れて京大生となった主人公の成瀬あかりが新たな仲間たちと出会う。滋賀から京都へと舞台を移しても、ぶれずに自分のペースや好きなことを自然体で貫く成瀬の姿が、多くの読者を惹きつけた。
第6位には、お笑い芸人・オードリーの若林正恭による初の小説『青天』がランクイン。タイトルの「青天(あおてん)」は、仰向けに倒されることを指すアメリカンフットボール用語。そんな「倒された側」の物語として描かれる本書は、高校のアメフト部の引退試合後、不甲斐ない日々を過ごしていた主人公・アリが、再びアメフトと向き合う青春を描いた小説。劣等感や弱さと向き合いながら、みっともない生き方を肯定する主人公の姿が共感を集め、著者初の小説にも関わらずランクインする快挙となった。
【単行本ノンフィクション】『大河の一滴』から30年。五木寛之の人間論、最後の集大成がランクイン!
単行本ノンフィクションジャンルは『大河の一滴 最終章』が第2位となった。1998年にベストセラーとなった『大河の一滴』では、人は小さな存在であるとし、「人生という大きな河の流れに身をゆだねること」を説いた。それから約30年が経ち、93歳となった著者が生きることにあらためて向き合い、「時には流れに逆らって生きてもいい」と説いた内容が、五木寛之の人間論の集大成として大きな話題を呼んだ。
第4位には、YouTubeクリエイター集団・コムドットのリーダー・やまとが、本名の「鈴木大飛」名義で出版した『命の燃やし方』がランクイン。本書は、「命を燃やす」ことを「自分らしく全力で生きる」ことと定義し、自分らしさの見つけ方や、自分らしく生きるために必要なスキルを提示している。著者が人生で学んだことが、「読んだ人の人生を変えたい」という著者の熱量とともに詰め込まれており、若年層を中心に支持を集めたと考えられる。
第7位には『憤怒の人』がランクイン。著者の杉山響子は、2026年4月に102歳で死去した作家・佐藤愛子の娘で、本書は、認知症になり記憶をなくしていく母の姿と、自身の記憶の中にある母との濃密な思い出を書き残すために執筆された。「衰えることも含めて佐藤愛子の人生である」と、生々しい現実を娘の視点で綴ったことが、佐藤愛子の作品の愛読者も惹きつけたと考えられる。
【単行本ビジネス】『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』がビジネスでも第1位に!
単行本ビジネスジャンル第1位には、総合でも第1位を飾った『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』が輝いた。本書は「仕事」「勉強」「ダイエット・健康」など複数のジャンルに分けた112個のテクニックについて、習慣化するとどんなメリットがあるのかを、科学的根拠をもとに説明している。
第3位は『やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ』がランクイン。人生に迷った主人公が不思議なカフェで提示された3つの質問をもとに、人生という物語の作者は「自分」であることに気づかされる内容で、「自分の存在意義」を考えるきっかけを与えてくれる1冊として、多くの人の関心を集めた。
第8位には『勝負眼』がランクイン。本書は、元サイバーエージェント社長の藤田晋が退任直前に発売し、次世代に向けた「引き継ぎ書」として注目を集めた1冊。創業社長としてサイバーエージェントを国内有数のIT企業へ成長させた藤田が、攻め続けることだけが正義ではないという「引き際」の判断など、“判断力”を鍛える思考法や価値観を伝えている点が、勝負の場に立つ多くの人からの反響を呼んだ。
【文庫】『一次元の挿し木』が第1位に!メディア化作品が多数ランクイン!
文庫ジャンルは『一次元の挿し木』が第1位を飾った。ヒマラヤ山中で発見された200年前の人骨と4年前に失踪した妹のDNAが完全に一致したという、不可解な謎から始まる本書は、2025年第23回「このミステリーがすごい!」大賞の文庫グランプリを受賞したSFミステリー。2026年7月スタートの実写ドラマにも注目が集まっている。
第2位は『人間標本』がランクイン。湊かなえがデビュー15周年を記念して書き下ろした作品を文庫化した本書は、衝撃的なテーマに挑んだ「イヤミス(嫌な気持ちになるミステリー)」で、2025年12月より実写ドラマが配信されたことも、売上を後押しした。
第9位は、2021年の単行本出版当時から、ネタバレ厳禁として話題になっていた『プロジェクト・ヘイル・メアリー』で、トップ10にランクインした作品の中で唯一、2026年に入ってから文庫版が発売された作品。映画公開前から注目を集めていたが、2026年3月の上映開始後に記録的なヒットを収めると、原作の売上もさらに加速した。
メディア化作品がランキングの多くを占める中で、初版発売から40年以上が経過している名著の増補改訂版『新版 思考の整理学』が第8位にランクインしたことにも注目したい。本書は、全国大学生協における文庫の累計販売冊数で1位(集計期間:2002年8月~2025年7月)になるなど、情報過多な現代においても、思考を整理するための技術書として読み継がれている。
・弊社ベストセラー情報は、約2,100軒の書店様のPOS販売データを基に、全国の書店様での販売状況を総合的に勘案して作成しております。
・集計期間は2025年11月19日~2026年5月20日です。
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