2014年度(第67期)決算概況
■2014年度(第67期)決算は減収減益
○日販グループ(連結子会社数:21社)の2014年度決算(4-3月期)の連結売上高は661,096百万円で前年に対し3.1%減、20,820百万円の減収となりました。消費増税後に落ち込んだ売上が下半期も回復せず、書店店頭の落ち込みが大きかったことが主要因です。
○損益については、大幅な減収を受け、一般管理費の抑制に努めたものの、輸送効率の悪化から荷造運送費がかさみ、当期純利益は1,052百万円、対前年で53.8%減、1,226百万円の減益となりました。ドライバー不足の問題は、損益へのインパクトもさることながら、今後発売日に雑誌が届かなくなってしまう恐れもあり、より深刻なことと捉えています。
①商品別売上概況
○雑誌は、定期誌・ムック合計の店頭売上増加率が7.3%減と厳しい状況となりました。特に月刊誌で最もシェアの高い女性誌の売上が、対前年15.7%減と大幅に落ち込みました。しかし「CLASSY」「and GIRL」「FUDGE」「LDK」など店頭売上対前年20%以上と非常に伸びているものもあり、銘柄ごとの差が大きくわかれました。
○書籍も、店頭売上増加率が7.6%減と厳しい状況となりました。トマ・ピケティ著『21世紀の資本』や「アナと雪の女王」などの話題作が売上を伸ばしたものの、書籍全体の売上は減収、返品率は僅かな減少にとどまりました。ベースが落ちている中ですが、High-Profit企画で作家買いを促進する「講談社文庫 傑作宣言プロモーション」という増売企画では、対象銘柄48点の売上実績が企画開始前と比較して2.6倍となり、店頭売上とマージンアップに貢献しました。
○コミックスの店頭売上実績は、書籍・雑誌が厳しい中、▲0.1%となりほぼ前年並の実績となりました。売上上位銘柄を見ると、『暗殺教室』『アオハライド』『弱虫ペダル』など、アニメ・映画・舞台と複合的に展開し、長期的に話題にのぼった銘柄が挙げられました。
○開発商品は、書店ルート・CVSルート共に日販PB商品の点数・売上共に伸ばすことが出来ました。特に人気アニメグッズのPB商品を企画制作したところ、非常に好評だったため68期も注力していきます。また、「日めくり まいにち、修造!」のヒットや「Sta×2(スタスタ)」パッケージで提供している文具・DULTONの雑貨商品などの拡大もあり売上実績が対前年1.5%と伸ばすことが出来ました。
②施策の概況
○契約書店様と書籍返品率25%を目指す取り組みである「Attack25」では、71法人のうち、19法人が返品率25%を達成され、30%を達成された法人を合わせると半数以上の39法人で成果がありました。
○書店マージンアップに向けた取り組みにおいては、インセンティブ付き商品企画である「High-Profit企画」の増加につとめており、書店様還元金額が対前年25.3%増の213百万円となりました。
○店頭で1年間売上のない書籍を返品し、今売れている書籍と入れ替える「不稼働在庫入れ替え」を1,044店舗で実施しました。入替えた書籍の中から、合計110万点が販売され、813百万円の売上を創出することが出来ました。これは対象書店の本年度書籍売上貢献度+1.3%に当たります。
○本年1月には出版社様向けの販売情報開示システム、「オープンネットワークWIN」の大幅リニューアルを実施しました。データ保持期間を従来の2年から最大5年間に延長し、これまでの送品・売上・返品に加え王子流通センターの在庫と受注状況を開示しました。市場在庫の精度向上に役に立ち、重版決定や販売状況分析などの活用範囲が大きく拡がりました。
○定期誌の取置きサービス「Maga-STOCK(マガストック)」の導入店は180店となりました。書店店頭でタブレット端末による在庫検索と注文が可能な「attaplus! (アッタプラス)」のサービスも導入店が140店を超え、メディア化情報の提供やCD、DVDの取り寄せといった新機能を追加しました。
○「Base+1(ベースプラスワン)」戦略では、文具パッケージ「Sta×2(スタスタ)」導入店が98店に増加しました。358店舗に導入したDULTON(ダルトン)のリーディンググラスは定番アイテムとして定着したほか、DULTON雑貨コーナー売場「with MARCHE(ウィズ マルシェ)」を展開するなど、商材拡大による店舗の付加価値のアップを図りました。
③グループ会社概況
○輸出をメインに行っていた日販アイ・ピー・エス㈱と、輸入をメインに行っていた㈱DIPを2014年7月1日に経営統合しました。海外駐在員向けの通販サイトCLUB JAPANの売上が中国・インドを中心に伸びており、新生日販アイ・ピー・エス㈱の売上を牽引しています。
○インテリア雑貨・生活雑貨等の企画・輸入・卸・小売業務全般を行っている㈱ダルトンは、日販グループに入ったことで、日販を通じた書店向けの売上が拡大しました。また、既存の取引先に関しても、『Glass jar with handle』といったヒット商品の牽引もあり、増収となりました。
○出版業界向け情報システム・システムインフラを提供している日販コンピュータテクノロジイ㈱は、出版社販売管理システムLEADの電子書籍印税対応や、小規模出版社向けシステムのLEAD Basicを発売したことから、増益を達成することが出来ました。
④課題
○店頭売上が非常に悪く、全体の売上に大きく影響を与えています。店頭POSの売上対前年は94.5%となり5.5%の大幅減となりました。一方、平均購入金額は1,346円(対前年101.5%)でほぼ変動がありませんでした。これにより客単価は変わらないが、①来店回数の減少 ②来店時の購入率の低下 のどちらか、あるいは両方により売上の低下が発生していると考えられます。
○Honya Club店カード会員の年間の購入動向を調査した所、買上冊数・買上金額ともに減少傾向が続いています。2012年度と比較した所、40代の急落が目立ちます。現在のボリュームゾーンである60代は買上冊数▲8.4%に対し、40代は▲12.5%、買上金額は、60代▲4.5%に対し40代▲6.9%となりました。2030年には現在の40代が人口のボリュームゾーンになっていく事を考えると、この年代に対応することで売上が拡大出来る可能性があります。
○書店に来店頂くために、2015年度(68期)からはじまる新中期経営計画「Breakthrough」では「『書店』から広がる新空間の創造と個客接点の拡大」を大きな戦略として掲げました。多くのお客様に来店頂けるよう魅力的なお店づくり、そのサポートをしてまいります。
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