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第44回神奈川日販会総会を開催

 神奈川日販会(会長:松信 裕 株式会社有隣堂代表取締役社長)は11月10日、横浜市のホテル プラムで第44回総会を開催し、会員書店はじめ出版社、日販関係者あわせて190名が出席した。
 また、昨年度の事業報告及び今年度の事業計画案、予算案などは事前に事務局が会員書店に説明して合意書を取り、いずれも可決・承認された。

 冒頭、松信会長が挨拶に立ち、「本の売れ方・買われ方が変化し、書店店頭の売り上げも非常に悪くなっている。現在の利益構造の中では、書店経営の継続はじき難しくなるだろう。出版社には、売れる本を作るとともに、書店の利益構造の改革について真剣に検討することもお願いしたい。紙の書籍や雑誌が全くなくなるということは考えられない以上、書店はこれからも出版社にとって大事な装置であるはずだ。
 日販のPARTNERS契約は、書籍の返品率25%を達成した書店は、30%のマージンを獲得できるという仕組みを目指している。しかし、PARTNERS契約を結んでいる出版社は、全体の売上の50%以上のシェアになったが社数では90社とまだ少ないため、たとえ書店が返品率25%を達成しても、獲得マージンは30%にならないというのが現状だ。そのため書店マージンアップは喫緊の課題である。また書籍・雑誌の売上が年々落ちる中、経営を維持していくには、DVDなどの書籍・雑誌以外の商品に力を入れざるを得ない状況である。今後も返品率の改善と書籍・雑誌の販売に力を入れていくので、出版社には積極的に日販とPARTNERS契約を結んでほしい。
 日販には、書店に人を呼び込むための店頭イベント『祭』や、商品の選定に書店の意思を反映させる『アドバンスMD』のほか、不稼働在庫の削減や基本在庫の充足など、様々な施策を行っていただいている。今後も、日販が持っている膨大なデータを最大限活用し、書店の売上を上げ、経営を継続させるための質の高い施策を取り続けていただきたい」と述べた。

 続いて、来賓として挨拶に立った平林 彰 日販代表取締役社長は、日販が取り組んでいる施策として「駅チカ・駅ナカ立地を活かした取り組み」「定期購読の獲得」「コミックの売り伸ばし」の三点について現状を報告した。
 まず「駅チカ・駅ナカ立地を活かした取り組み」については、「神奈川日販会の会員書店113店のうち、約三分の二にあたる74店が、駅に近い立地の『駅チカ・駅ナカ』店である。この立地を活用した取り組みとして、『本日発売』を告知するプレートの設置や、帰宅時間に合わせた発売情報のメール通知、電車内広告との連動などを行ったところ、駅近くの店舗では告知した商品の売上が伸びた」と述べた。
 次に「定期購読の獲得」について、「日販首都圏支社が9月に独自に展開した定期購読獲得キャンペーンでは、全国における首都圏の書店の売上シェアの高さを示す成果が出た。また、雑誌の取り置きサービス「Maga-STOCK」という仕組みをご用意している。取り置きすることによって来店回数が高まり、その雑誌だけでなく他の書籍も買っていただけるという付帯効果がある。今後も、来春にかけていくつかの企画・フェアを考えているので、ぜひ一緒に取り組んでいただきたい」と述べた。
 次に「コミックの売り伸ばし」については、「今年4月から9月までの前期、書籍・雑誌の売上はともに厳しい数字だったが、コミックは善戦している。コミックの売り伸ばしを推進するために日販は4月の組織改定でコミックチームを作り、一連の施策に邁進できる体制を作った。その施策として、棚前平台の成長銘柄展開や、読者特典の提供、次号・次巻の発売日予告のアピールなどを行っている」と述べた。
 最後に「日販は、これらの施策以外にも様々なリソースを持っているので、今後も活用していただきたい。要望等もお寄せいただければ、前向きに取り組んでいく」と述べた。

 総会後には、記念講演第一部として、『夢をかなえるゾウ』などの著書で知られる水野 敬也氏による講演「人生はセカンドチャンス!〜2度目のブレイクまでの7年間~」が開催された。下積み時代からベストセラーの執筆、次のヒット作を生み出すまでの心の葛藤や周りの目といった自身の経験談を、成功事例として紹介していただいた。
 続く第二部では、「アラサーちゃんに学ぶ!中年の危機を乗り切る技術」と題し、漫画「アラサーちゃん無修正」著者の峰 なゆか氏に、出席者が元気になるような講演をしていただいた。中年にありがちな間違いや勘違いを、女性の目線から危機と捉え、その対処法について、自身の作品を例に紹介された。会場の大部分を中年が占める中、参加者からは笑い声や驚嘆の声が起こっていた。

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