第59回東海日販会総会を開催
東海日販会(世話人代表:宮川 源 株式会社鎌倉文庫代表取締役社長)は2月12日、名古屋市の名古屋東急ホテルで第59回総会を開催し、会員書店はじめ、出版社、日販関係者あわせて348名が出席した。
冒頭、宮川世話人代表が挨拶に立った。挨拶の要旨は以下の通り。
「2014年は一段と厳しさを増した年であった。出版物の販売額は大きく減少し、またリアル書店も日に日に店舗数を減らしている。その要因として、図書館やコンビニ、新古書店、インターネット書店などによる影響が考えられる。また消費税増税による影響も大きく、店頭売上が比較的堅調であった文庫のような廉価商品も、増税後は非常に落ち込むようになってきた。
教育学者の齋藤孝氏(明治大学教授)によれば、学生に一週間に五冊、教養新書を強制的に読ませたところ、学生の知的レベルが非常に向上したという。これは、本の内容に感化されたとか、情報を取り入れたということではなくて、今までの自分の生き方への反省や、自分に対する意識改革が非常に進んだということだ。幼少期からこうした豊富な読書体験を持ってもらうことの大切さを、業界全体で提言し、地道に取り組んでいかなければならない。そうしなければ、読書人口は減るばかりだ。
書店・出版社・取次の業界三者は、出版物が好きだという共通した思いを持っている。その思いをビジネスとして成り立たせ、本という素晴らしい商材を永く売り続けていけるよう、知恵を絞っていかなければならない」
その後、昨年度の事業経過報告・会計報告及び今年度の事業計画案・予算案が審議され、いずれも可決・承認された。
続いて、平林 彰 日販代表取締役社長が来賓を代表して挨拶した。挨拶の要旨は以下の通り。
「2015年の日販のキャッチフレーズは“『書店』から広がる新空間”とした。このフレーズには、書店を起点に、個々のお客様=『個客』の満足できる空間を作っていこう、という意味を込めている。
今年、我々が取り組んでいくべきは、書店という新しい空間を作っていくことと、この空間とお客様との接点を作ることの二つである。ただ商品を並べるだけでなく、楽しさ、居心地の良さ、人との繋がり、ファッション性、高級感といった価値を提供し、お客様の満足が得られる空間を作っていく。さらに、店頭イベントなどを通して来店機会を増やし、書店とお客様との接点を作る。最近の取り組みの事例としては、アイドル関連書籍の発売に合わせてイベントを企画し、イベント招待券や特典などが当たるセット商品を予約販売したところ、即日完売した。書店店頭やSNS、日販が運営するインターネット書店Honya Club.comなど、様々なツールを組み合わせて書店とお客様の接点を作り、利益の創出に成功した事例である。
今は、本を全く読まないという人も多いと聞く。しかし、言い換えればまだまだ本を買ってもらえる、読んでもらえるチャンスがあるということだ。そのように前向きに捉えていきたい」
総会後には、「本を売るな、物語を売れ!」と題し、湘南ストーリーブランディング研究所代表・川上徹也氏による記念講演が行われた。『物を売るバカ』などの著書で知られる川上氏は、これから書店が本を売っていくためには①「物語」を発信していく力②キャッチコピー力 が必要であり、その方法として「会社、お店、商品がもっている『本来の価値』を人の心が動くようにわかりやすく『見える化』する」=「ストーリー・ブランディング」が重要であると訴えた。
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