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第57回東海日販会総会を開催

東海日販会(世話人代表:宮川源 ㈱鎌倉文庫代表取締役社長)は2月14日、名古屋市の名古屋東急ホテルで第57回総会を開催し、会員書店はじめ、出版社、日販関係者あわせて458名が出席した。

冒頭、宮川世話人代表が挨拶に立ち、「昨年の出版物販売額が対前年△3.6%と発表されたが、ピーク時に比べるとおよそ3分の2になってしまった。 紙の本の出版規模が縮小して、書店経営が圧迫されている。2012年の新規出店は221店、閉店は553店で、ここ10年間で4,444店も減っている。 愛知県だけで見ると新規出店が15店、閉店が61店、10年間で284店の減少である。リアル書店はこれからどうしたらいいのか。わくわくするような売場 をどうやって作っていくのか。複合化も必要ではあるが、やはり紙の本を売って経営が成り立つようにしていきたい。リアル書店のメリットは、在庫が目に見え る形でディスプレイされていることである。きちんと作家が執筆して、編集者が編集作業を行い、印刷、製本の過程を経て、形になっている。出版社には100 年先にも良書と思えるものを出版してほしい。取次には適正な配本をお願いしたい。そして書店はそれをいかにディスプレイし、販売していくか。眼前の数字に 追われて業界が委縮している感がするが、もっと集客する術を考えていかなければならない。若い女性向きのブログで、紙の本がなくならないと思う理由という のが4つ書かれていた。①本の物としての美しさ、②本の装丁の力、③所有したいという欲求、④思い出を呼び起こす力、だそうである。物質としての本を愛し ている人はまだまだ多い。いい商材を扱っていることに誇りを持ってほしい」と述べた。

続いて、昨年度の事業経過報告・会計報告及び今年度の事業計画案・予算案が審議され、いずれも可決・承認された。

続いて来賓を代表して挨拶に立った古屋文明 日販代表取締役社長は「日販のPOSデータによると、昨年4月から12月の既存店の売上は対前年△5.6%だったが、今年1月は△3.6%とよくなってき ている。昨年のCDの売上や百貨店の売上は、久しぶりに対前年プラスとなった。政権交代で景気が上向くという期待もある。ずっと右肩下がりが続くわけでは ないという思いで、この1年間取り組んでいきたい。昨今、書店の買い上げ客数が減ってきており、読者を呼び込むため、年末から『ほんらぶ祭り』『本気祭 り』を実施してきた。取り組んでいただいた書店では成果が出ている。これと合わせて、在庫を魅力あるものにするために、不稼働在庫の低減、基本在庫の充足 率向上、送品比率の適正化に取り組んでいる。雑誌定期購読の仕組みについても、いまじん白揚様と組んで、3月からシステムをPOSに搭載する。また日曜 日・祝日にも客注品が届くよう、宅配便を使った『スーパーQuickBook』のサービスを3月から始める。出版流通改革についても2015年度までに書 籍返品率25%を目指し、また書店マージン35%以上のHigh-Profit商品を、来期は5,000点ほどに拡大したい。これらによって書店のマージ ンアップを実現したい。消費税のアップについてであるが、出版4団体で軽減税率の適用を求める動きを始めている。業界が一丸となって、知的な財産の増税に ついて反対だと主張していきたい」と述べた。

次に森武文 ㈱講談社専務取締役が「アベノミクス効果によって、明るい話題も出始めた昨今である。アベノミクスには3本の矢があるが、この業界にも書店、取次、出版社 という3本の矢がある。しかし、この3本が必ずしも同じ方向を向いていないようにも思えて、気がかりである。昨今は出版業界だけではなく、様々な業界で ネット通販の脅威が叫ばれている。ネット通販にできて、リアル店舗にできていないことは何か。出版業界でも客注品の迅速化に向けた実験を行って成果が上 がっているが、ネットでできていることを、リアルでも対等に行える環境作りをしていかなければならない。出版社の主戦場は、あくまでもリアル書店である。 出版物の成長に向けては、リアル書店の成長が不可欠である。日販の祭り企画ももっと拡大して、業界を挙げて、書店により多くの読者を誘導できるような施策 を考えていかなければならない」と述べた。

さらに横山淳 日販中部支社長が「東海日販会の伝統と規模に負けないものを始めたいということでスタートさせた東海ブックサミットも、10回を迎えることができた。雑誌 サミットの開催やPOP大賞といったことにも取り組み、成果を上げてきた。今後とも書店に直結する活動ということで、みなさんと共に進めていきたい」と閉 会の挨拶を述べた。 総会前には第10回となる「東海ブックサミット2013」が行われ、過去最大規模となる114社の出版社がブースを展開、来場した書店と商談を進めた。

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