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第56回東海日販会総会を開催

東海日販会(世話人代表:宮川源 ㈱鎌倉文庫代表取締役社長)は2月16日、名古屋市の名古屋東急ホテルで第56回総会を開催し、会員書店はじめ、出版社、日販関係者あわせて440名が出席した。

冒頭、宮川世話人代表が挨拶に立ち、「昨年1年間で書店出店数が272店、閉店数が766店と軒数が減ってきており、書籍・雑誌の新刊だけで商売をしていては経営が成り立たなくなってきている。どうしたらいいのかを考えてみるに、書籍は責任販売・計画販売で、ベストセラーが期待されるものを月に10本くらい製作してほしい。それで書店が目利きをする訓練もしていきたい。雑誌は非常に数字が厳しいが、これもひとえに書店数の減少が最大の要因だと思う。外商・配達をしていた書店がなくなってしまったことが大きい。雑誌については早い段階で企画の内容を明らかにして、追加がきくシステムがほしい。現在、業界三者の考えているベクトルの方向がずれているように感じる。出版社は書店数の減少により雑誌の直販を進め、電子書籍にも進出している。取次は返品率の減少に努力している。書店は本で売上をあげるのが厳しいので、文具や中古本等、他のアイテムを導入している。このような微妙なずれをなくしていかなければならない。それぞれ出版物に対して思い入れがあるのだから、知恵を出し合って良い方向に進んでいくよう努力したい」と述べた。
続いて、昨年度の事業経過報告・会計報告及び今年度の事業計画案・予算案が審議され、いずれも可決・承認された。また、今年度は役員改選期にあたっており、新任・退任の役員についても承認された。(役員の変更については下記参照)

続いて、来賓を代表して挨拶に立った古屋文明 日販代表取締役社長は「先日の文化通信に、朝日新聞の記事を引用したコラムがあった。米国の2書店の事例で、1つはポーツマスで閉店の意向を持つ書店に対して住民が反対し、賃料の安いところに移転して商売を継続したという話。もう1つは書店のなかったナッシュビルに、住民の応援で書店ができたという話である。昨年ボーダーズが倒産して、200店を超える書店がなくなった。アメリカには再販制度がなく、アマゾンやウォルマート等が新刊を値引きして売っており、それで書店が苦境に立たされている。日本では再販を維持し、このようなことのないようにしなければならない。また雑誌の不振が非常に大きく、日販としても様々な施策を提案していきたいが、一方では書籍で収益をあげること、委託によって生じている流通の無駄を排し、利益を生み出すことを考えていかなければならない。このために日販ではPARTNERS契約、㈱MPDではチャージ契約を進め、利益の再配分を行っている。買切のシェアも増やしていかなければならないが、計画販売がなかなか進まない。歩安、返品制限、時限再販に取り組んでマージンアップに繋げたい。雑誌の落ち込みがさらに大きくなる前に、新たな仕組みを確立させたい」と述べた。

次に溝口明秀 ㈱NHK出版代表取締役社長が「中国の鄧小平の言葉に『富める者から富んでいけ』という言葉がある。成功事例を作って、それで全体を引っ張っていくということである。出版業界も、厳しさを悲観していても仕方がないので、創業時からの独自性を生かし、良い意味での競争をすることが必要である。NHKテキストに『100分de名著』というものがあるが、2月号で新渡戸稲造を取り上げたところ、彼の著作を出版している出版社からNHKテキストの中に広告を出したいという話が寄せられた。こういったコラボレーションができれば、競争しながら共生もできる。業界三者が組めば、まだまだ捨てたものではないと思っている」と祝辞を述べた。

さらに上間淳一 日販中部支社長が「名古屋の市況も厳しく、特に雑誌の落ちこみに対しては東海日販会の拡販委員会でPTを発足させた。そんな中、地元において雑誌の定期購読を4万件も獲得した書店や、NHKテキストの売上が全国で上位に入っている書店がある。日販名古屋支店の店売で雑誌の売上上位100誌を調べてみたところ、95誌が定期購読をしており、割引のサービスも行っている。これを活用して底辺を盛り上げていきたいと思うが、やはり店頭の対面販売で読者に定期購読を推奨していただきたい。色々なアイデアを試して、東海日販会には率先して雑誌売上アップのきっかけ作りをしていただきたい」と閉会の挨拶を述べた。
総会前には第9回となる「東海ブックサミット2012」が行われ、過去最大規模となる111社の出版社がブースを展開、来場した書店と商談を進めた。

【東海日販会 役員変更(敬称略)】
<新 任>
書店世話人:木和田泰正(精文館書店)    書店世話人:水野賢一(白沢書店)
<退 任>
書店世話人:鈴木龍一郎(元禄屋書店)    書店世話人:町野雄一(コスモブックセンター)
<書店の組織改定による担当変更>
書店世話人:嶋田敏明 → 安達敏之(丸善名古屋支店)

■本件に関するお問い合わせ
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