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日販「PARTNERSカンファレンス2014」を開催

 日本出版販売株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:平林 彰、略称:日販)は、10月27日、東京マリオットホテル(東京都品川区)にて、「PARTNERSカンファレンス2014」を開催し、出版社・書店・日販関係者合わせて222名が出席した。

 会の冒頭、平林社長が挨拶に立ち、「1998年以降、出版業界はマイナス成長の『競争の時代』に入った。インターネット書店や電子書籍の台頭、読書時間の減少、人口構成の変化といった要因から書店の売り上げも落ち、出版社も、卸である日販も苦しいという負の連鎖が続いている。加えて、雑誌の売上減少による商品回転率の低下、店舗の大型化による運営コストの増加、支払方法の多様化などにより、書店の損益構造はさらに悪化している。こうした状況に対し、日販はストアオートメーション機器や店頭オペレーションサービスの提供、物流送品の迅速化といった施策を取ってきた。書店の売上を上げることで、出版社の売上も上がるようにしていきたい。
 書店の売上を上げるということは、交差比率(商品回転率×粗利益率)を高めることと定義づけられる。商品回転率を高めるには、不稼働在庫を減らすことが必要であり、日販では不稼働在庫がひと目で分かるハンディターミナルを提供している。またHigh-Profit企画やPPI銘柄、さらに雑貨やその他の商材も一緒に売ることで、全体の粗利益率を高めていただきたい。そして、返品率を改善し、流通コストを下げることで生まれた利益を書店に還元するPARTNERS契約を、さらに拡大していきたい。
 今後は新刊のサプライチェーンマネジメントを構築していきたい。現在も、書店の仕入の意思を反映するアドバンスMD(新刊申し込み)や、仕入を代行するカテゴリーコントロール、リリーフA(エース)といったシステムを提供している。ぜひ、これらの施策を役立てていただきたい」と述べた。

 続いて「出版流通改革 書店様マージンUPの取組について」と題して、円道 秀治 日販書籍部PPI促進課課長から、出版社との契約で発生したインセンティブを書店に還元する仕組みであるPPI(PARTNER PUBLISHERS INCENTIVE)契約シェアの現状が報告された。またシェア拡大のための戦略として、PPI銘柄を店頭で優先して在庫するオペレーションの促進、自動発注システム「リリーフA」での優先発注、MD計画書での優先的な商品提案、の三点が挙げられた。
 次にHigh-Profit企画の販売取組について、2014年9月時点での企画実施銘柄は5,400点にのぼり、点数増加に伴い売上も増加していることが、成功事例とともに報告された。また9月から実施している「推しメン!」(実用書のおすすめ銘柄を面陳列で展開する企画)についても、先行稼働店の展開事例と実績が紹介された。

 また日販支社長High-Profit企画として2013年に実施された「書店員と読者が選ぶ みんなの幻冬舎文庫 イチばん面白い『幻冬舎文庫No.1』決定戦!」について、時田 有希子 株式会社幻冬舎営業局営業第一部部長、阿部 江里 同課長、河村 学 日販流通改革推進グループMDチーム係長の三氏より報告された。
 次に「私共の書店について」と題し、平柿 宗敏 株式会社平柿文仙堂代表取締役社長よりBook houseひらがきでの取り組みについて報告された。

 最後に、萬羽 励一 日販マーケティング本部流通改革推進グループ部長より、「新刊SCM構築」について「日販が考える新刊SCMとは、初回送品から発売後の補充注文まで、書店の意思に満数でお応えする体制を作り、新刊における販売機会の最大化と売れ残りの極小化を実現することである。日販は書店の意思で必要数を発注できる新刊仕入システム『アドバンスMD』を2010年に開始したが、まだ新刊全体のうち四分の三の銘柄には書店の意思を反映できていない。アドバンスMDの配本方法に不安を持っている出版社も多いと思うが、実績を見る限り、書店からの申込数は適正であり、書店の意思を反映することで、販売機会・送品冊数・売上率アップにつなげることができている。ただ書店では全ての銘柄を見ることができないという事実をふまえ、提案数の精度を上げることが今後の最重要課題である。
 また新刊取置についても、発売後一ヶ月間の受注分を初回に取り置きできていない銘柄が、全体の四分の一あり、書店からの注文に十分に応えられていない。店頭に在庫がない、つまりお客様が買えないということは、出版社にとっても売上につながらない。残念ながら、ベストセラー銘柄についても、書店からの受注に満数で応えられていないのが実態である」と報告された。
 また今後の展開として、「提案精度の向上などに取り組みながら、さらにその効果を最大化していくために、アドバンスMD参加書店の拡大を進めていきたい。同時に、アドバンスMD実施銘柄についても、契約出版社の商品全てに拡大し、特に初版部数の大きい商品については、全ての出版社を対象に一銘柄でも多く実施していきたい。また発売後の対応強化のために、王子在庫をさらに強化し、売上機会ロスを防ぐことで、出版社・書店の売上アップにつなげていきたい」と述べた。
 最後に、出版社へのお願いとして「アドバンスMDは商品情報を事前に書店にお知らせすることから始まる。近刊情報データベースへのご登録と、それも含めた刊行スケジュールの検討、類書情報の提供、新刊発行時からの商品確保、ベストセラー銘柄の王子在庫へのご協力等をお願いしたい」と述べた。

 会場を移して行われた第二部懇親会は、芝山 喜久男 株式会社マガジンハウス取締役の乾杯の発声で開会した。出席者が交流を深める中、安西 浩和 日販専務取締役の中締めにより盛況のうちに閉会した。

 日販は今後も出版社・書店との連携をより密にして、出版流通改革を推進し、業界三者が共に繁栄する体制づくりを目指していく。

■本件に関するお問い合わせ
日本出版販売株式会社 経営戦略室経営企画グループ広報チーム 担当:丸、正道寺
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