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日販「平成24年新年仕事始め式」を開催

日販は、1月5日、本社5階会議室で「平成24年新年仕事始め式」を行いました。古屋文明社長の年頭のあいさつ(要旨)は下記の通りです。 なお、業務奨励賞、業績貢献賞、業務革新賞、利益拡大賞の発表・表彰もあわせて行いました。

【古屋社長あいさつ(要旨)】
昨年は本当に多事多難の年でした。3月11日の東日本大震災をはじめ、自然の脅威の前に、人間の無力さを思い知らされた1年でした。 震災直後は、出版業界も相当の混乱をきたしました。しかし、東北支店のみなさんを中心に、全社をあげて被災書店様の復興に向けて、不便な環境の中、尽力してもらいました。 震災を通して、感じたことが3点ほどあります。
まず最初が、出版物の力ということです。震災直後は、売上にどれだけ影響が出るのか懸念されましたが、逆に東北地方だけが前年を上回るという予想外の推移となっています。なぜ被災地で売上が伸びているのか。やはり人間の生活にとって、本はなくてはならないものだということを被災者の方々が認識されたということが、最も大きな要因ではないかと考えています。
2つ目が、出版流通の危機管理ということです。震災直後は交通網が寸断され、ガソリンも不足して、隔日配送を余儀なくされました。他の物資は配達されているのに、何故、本は届かないのかというお叱りも多くいただきました。この点については、日販として、また取次協会として対策を講じていかなければなりません。
そして3つ目が、絆ということです。被災商品の返品入帖に関しては、出版社様に対して優越的地位の濫用の恐れがあると、公取委から指導もありました。しかし、一方で、問屋やメーカーが小売を支援する業界は、他には例を見ないということも言われました。委託商品が中心となっているので、出版業界では当然のことだと思っていましたが、珍しいケースということで、この業界の絆の深さを感じることができました。
今年の春から、新しい中期経営計画がスタートします。その期間に、われわれが何をすべきかということですが、まず委託制度に固執した取引から脱却して、流通の無駄を排除し、業界三者の収益力を向上させて行かなければなりません。取引制度改革の当面のゴールは、2015年までに書籍返品率25%を達成し、そこから生まれたプロフィットを業界三者に再配分、それぞれの収益力を上げていくことです。なぜ書籍返品率25%を達成していかなければならないのか。そこには雑誌のダウントレンドが進んでいるという深刻な問題があるからです。かつて雑誌は書店様にとっても、出版社様にとっても、取次にとっても利幅の大きい、経営を支えてくれるアイテムでした。しかしこのところ、店頭の動きが非常に鈍くなっており、書籍だけでも経営が成り立つ仕組みを作り上げていかなければならない必要性が生じています。昨年、出版業界の各社からメンバーが集まり、ドイツの出版業界を視察しました。ドイツの出版業界は原則買い切りで、年2回、出版社が発行するカタログを見て、書店が自分で仕入を決めるといった流れになっています。その結果、返品率は10%未満に抑えられています。一朝一夕にドイツのような仕組みにすることは不可能ですが、見習うべきところは見習っていかなければなりません。
次に「Honya Club.com」についてです。Honya Clubの会員のアンケートによると、加盟書店様で購入しているのは3割程度で、他はネットや他店で購入しているということで、これを取り込むべく、昨年夏の開設に至りました。さらなるサービスの向上、書店様や読者へのアピールに努めていただきたいと思います。
これらの他に、向こう3年間のテーマを考えた場合、新規事業や新規商材の開拓といったことも外せません。さらにこれらのテーマを遂行していくための物流インフラやシステムインフラの整備・拡充といったことも、新しい中期経営計画の柱になっていきます。
今期も残すところ、3カ月となりました。今期は例年に比べて下半期の売上高予算シェアが高くなっていますが、予算達成に向けて努力をお願いします。 今年もわれわれを取り巻く環境は厳しいものになるかもしれませんが、改革の矛先を緩めず進んでいきたいと思っています。共に頑張っていきましょう。

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日本出版販売株式会社 経営戦略室広報課 担当:岩本  
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