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日販 第66期中間(2013.9.30)決算概況

■連結・単体ともに中間決算は減収増益

日販グループ(連結子会社数:19社)の連結売上高は、329,470百万円で、対前年△1.7%、5,824百万円の減収となりました。ネットルートの伸長はあったものの、書店ルート・CVSルートの売上が低迷しました。 売上の落ちこみや、セル・レンタル映像ソフト及びゲームの収益性悪化等により、売上総利益は36,595百万円、対前年△4.0%、1,514百万円の減益となりました。 販売費及び一般管理費は、グループ全体で物流効率の改善と経常経費の抑制に取り組んだことで、売上総利益の減少以上に削減することができ、33,888百万円、対前年△5.4%、1,925百万円の減少となりました。 この結果、営業利益は2,707百万円で、対前年+17.9%、410百万円の増益、経常利益は3,020百万円で、対前年+14.4%、381百万円の増益となりました。 特別損失には、固定資産除却損等、81百万円を計上し、中間純利益は1,656百万円、対前年+30.0%、381百万円の増益となりました。

連結子会社の中では、出版共同流通㈱が生産性の向上により、近年、割戻率の改定を継続して行っており、日販のみならず、協業各社のコスト削減にも寄与しています。 またグループ書店各社では、アドバンスMD(新刊事前申込)やリリーフA(発注代行)、High−Profit企画の取り組み、不稼働在庫の入替等、日販の提案する各施策を徹底して実践しており、出版流通改革のモデルとなっています。結果、すでに書籍返品率が日販のゴールステートメントに掲げる 25%以下になっている店舗も出てきています。

一方、日販単体の売上高は、273,327百万円、対前年△1.1%、2,900百万円の減収となりました。 うち商品売上高の内訳は、書籍が121,648百万円で、対前年+0.1%、168百万円の増収となりました。一方、雑誌のダウントレンドは相変わらず続いており、142,064百万円、同△2.5%、3,660百万円の減収となりました。また開発商品は15,781百万円、同+7.9%、 1,153百万円の増収となりました。合計の商品売上高は279,494百万円、同△0.8%、2,339百万円の減収となりました。 返品率については、書籍は「PARTNERS契約」の締結をはじめとする出版流通改革の取り組みにより、34.1%と、対前年0.02ポイント改善しましたが、改善幅は減少しました。一方、雑誌返品率は39.5%で、残念ながら対前年2.0ポイント悪化しました。合計返品率は36.7%で、雑誌の悪化が影響し、対前年1.0ポイントの上昇となりました。 高利益率の雑誌売上高の減少により、売上総利益は24,705百万円、対前年△2.2%、559百万円の減益と、減収幅を上回る落ち込みとなりました。 全社でコストコントロールに努力した結果、販売費及び一般管理費は23,500百万円、対前年△2.1%、496百万円の減少となりました。うち販売費は11,329百万円、対前年△0.3%となりました。前期末に実施した日販物流サービス㈱との業務統合や配送ルートの見直し、出版共同流通㈱の収益力向上等の効果が出て、特に運賃及び荷造費はともに対前年△1.3%となりました。一方、一般管理費は12,171百万円、対前年△3.7%となりました。うち人件費は、正社員数の減少、平均年齢の低下等により、対前年△2.3%となりました。人材については、臨時社員や中途採用、グループ会社からの出向者の積極活用等、多様化を図って成果を上げています。また、電力料金の値上げによって光熱費は上昇しましたが、一般事務費・用度費・借地借家料等の見直しを行い、一般管理費の抑制につなげました。 しかし、売上総利益の減少を経費の削減では補えず、営業利益は1,204百万円、対前年△5.0%、63百万円の減益となりました。 営業外損益を加えた経常利益は1,545百万円で、対前年+0.4%、6百万円の増益となりました。 これに、特別損失23百万円と法人税等を加味した結果、中間純利益は1,026百万円、対前年+0.2%、2百万円の微増益となりました。

日販では本年9月末をもって、確定給付企業年金(DB)制度を、従業員・OBを含めて完全に終了しました。これによって、会社にとっては年金資産運用の変動リスクから解放され、企業会計に与えるインパクトを軽減させることができるというメリットが生まれます。 一方で、10月より新たに退職一時金制度をスタートさせるとともに、従来からの確定拠出企業年金(DC)制度についても、指標利率の引き下げ、マッチング拠出の導入、新しい選択肢の追加などを行い、従業員にとって、より使い勝手がよいものとなりました。

■中期経営計画「Change」における主要施策の進展

【出版流通改革】

2010年4月から締結を開始した「PARTNERS契約」は4年目に入り、契約店のシェアは関連会社である㈱MPDのチャージ契約と合わせると、75%を超えました。また出版社との契約締結については、50%のシェアとなりました。 書店マージンのアップに向けては、「PARTNERS契約」の締結と合わせて、インセンティブがつく「High−Profit企画」などを進めており、稼働している点数は3,600を超えています。 第66期からは支社長が陣頭指揮を執り、営業部門が総力を挙げて販売に傾注する「支社長High−Profit銘柄」をスタートさせ、すでに第4弾までを展開、年内にさらに第5弾をリリースします。書店員と日販の営業担当者による知恵を絞った売場作りで、いずれも高い成果をあげています。 また「PPI(=PARTNERS PUBLISHERS INCENTIVE 契約出版社の売上拡大と効率改善を目指し、貢献した書店にインセンティブが発生)」においては、全体契約に加えて、特定のジャンルやシリーズの販売体制を強化するオプション契約、並びに、より高いインセンティブを還元するSランクの新設といった取り組みを第66期から始めています。

【Honya Club & Honya Club.com】

読者の購買動向を把握し、取引先支援につなげるCRMプログラム「Honya Club」は加盟書店が357店となり、会員数も540万人となりました。 3月には「Honya Club」において、定期誌取り置きサービスである「Maga−STOCK」を開始しました。これは「Honya Club」の会員IDと雑誌の定期購読の情報を連動させて管理する仕組みで、書店においては、定期購読に関する業務負荷を軽減させることができ、読者も「Honya  Club」の会員カードの提示だけで定期購読誌を受け取ることができます。「Maga−STOCK」の導入店はおよそ120店となっており、店頭売上増加につながる定期的な来店客の確保を目指していきます。 一方、書籍通販サイト「Honya Club.com」においては、8月より雑誌の取り扱いを開始しました。週刊誌・月刊誌のみならず、分冊百科、テキスト、洋雑誌なども取りそろえており、読者の利便性向上、書店店頭における注文品受け取りに伴う客数増につなげています。 さらに10月からは「Honya Club.com」の商品受取対象書店に対して、「店内決着アプリ」の提供を開始しました。これは、書店店頭に常設したタブレット端末から、読者が店内在庫を検索し、店内に在庫がなかった場合でも、その場で端末を操作して注文ができるサービスです。これによって、競合店やネット書店への売上流出を防止していきます。

【“祭”企画】

昨今の売上の低迷は、客単価の低減ではなく、客数の減少、買上率の減少に起因していることから、先期より読者を店頭に呼び込む仕掛け、買いたくなる仕掛けづくりである“祭”を開催しています。 第66期においても、7月から8月にかけては、ポイントラリー・スタンプラリーやオリジナルコミックカバーコレクションといった夏祭を開催。続いて11月からは倍返しキャンペーンと銘打って、図書カードプレゼントや「Honya Club」ポイントの2倍付与などの秋祭を行っています。 祭開催店と非開催店を比較すると、明らかに売上伸率に格差が出てきています。市況が厳しい中においても、夏祭開催店のおよそ4割の店頭売上が対前年100%を上回っており、店頭活性化に向けて、成果が実証されています。

■本件に関するお問い合わせ
日本出版販売株式会社 経営戦略室広報課 担当:岩本
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