日販 第65期中間(2012.9.30)決算概況
連結・単体ともに中間決算は減収減益
日販グループ(連結子会社数:17社)の連結売上高は、335,295百万円で、対前年△1.7%、5,971百万円の減収となりました。 売上総利益は38,110百万円で、対前年△4.3%、1,692百万円の減益となり、売上高・売上総利益ともに日販単体決算の減収が大きく影響しました。
販売費及び一般管理費は、出版流通改革の進展に伴う書籍返品率の改善、また従業員数の減少、システム開発の内製化による業務委託費の削減、借地借家料や リース料の削減、グループを挙げたコストコントロールの取り組みにより、35,813百万円、対前年△0.7%、250百万円の減少となりました。 このように経費抑制には努めましたが、売上総利益の減少はカバーしきれず、営業利益は2,296百万円で、対前年△38.6%、1,442百万円の減益、経常利益は2,639百万円で、対前年△37.6%、1,588百万円の減益となりました。 特別損失には、投資有価証券評価損等、178百万円を計上し、中間純利益は1,274百万円、対前年△26.1%、451百万円の減益となりました。 一方、日販単体の売上高は、今春からの市況の悪化による店頭売上の落ち込みを反映して、276,228百万円、対前年△1.6%、4,373百万円の減収となりました。 うち商品売上高の内訳は、書籍が121,479百万円で、対前年1.8%増となりました。
一方、雑誌のダウントレンドは相変わらず続いており、 145,724百万円、同△2.6%となりました。また開発商品も14,628百万円、同△12.5%となりました。合計の商品売上高は281,833百 万円、同△1.4%の減収となりました。 返品率については、書籍は「PARTNERS契約」の締結をはじめとする出版流通改革の取り組みが奏功し、34.1%と、対前年1.5ポイント改善しまし た。一方、雑誌返品率は37.5%で、残念ながら対前年1.5ポイントの上昇となりました。合計返品率は35.7%で、雑誌の悪化が影響し、対前年0.2 ポイントの上昇となりました。 雑誌売上高の減少とレンタル市場の低迷によるPPT(※)の収益力の低下により、売上総利益は25,265百万円、対前年△5.3%、1,411百万円の減益となりました。 全社でコスト削減に努力した結果、販売費及び一般管理費は23,996百万円、対前年△4.2%と、売上高の落ち込み以上に抑制することができました。販売費のうち、特に返品荷造費については、書籍返品率の改善と出版共同流通㈱の生産性の向上による返品処理単価の引き下げで、対前年△7.2%と大幅に減少 しました。一方、一般管理費は従業員数の減少、業務委託費の削減、借地借家料やリース料の削減、全社で取り組んだ経費節減等により、同△3.7%、492 百万円削減できました。
日販が「PARTNERS契約」の締結をはじめとする出版流通改革に着手してから3年目となり、書籍返品率は42.4%から34.1%へと、△8.3ポイ ント改善しています。1年目(第63期中間決算)には△4.6ポイント、2年目(第64期中間決算)には△2.2ポイント、それぞれ改善しましたが、3年 目となる今期の中間決算においては、改善幅が小さくなり、対前年△1.5ポイントにとどまっています。 全社を挙げたコストコントロールに取り組んだものの、市況の低迷による売上高の減少、また返品率改善幅の低下をカバーしきれず、営業利益は1,268百万円、対前年△22.2%、360百万円の減益となりました。 営業外損益を加えた経常利益は1,538百万円で、対前年△24.4%、496百万円の減益となりました。 これに、投資有価証券評価損などによる特別損失102百万円と法人税等を加味した結果、中間純利益は1,023百万円、対前年△10.8%、124百万円の減益となりました。
<表示方法の変更について>
今回の中間決算より日販の本業である出版取次事業売上を明示するため、売上高の内訳として「商品売上高」「その他売上高」「売上割戻」を区分して表示しています。 「売上割戻」については、従来「営業外費用」としていた入金歩戻の比率が低下し、代わって出版流通改革におけるインセンティブの支払率が増大してきたため、これらを合わせて売上高の控除項目として表示することとしました。
新・中期経営計画「Change」がスタート
第65期より3カ年にわたる新・中期経営計画「Change」をスタートさせました。 当計画においては、基本方針として「日販グループは『出版流通の改革』と『新たな需要の創出』に取り組み業界の成長を牽引する」ことを掲げています。 具体的な基本戦略としては、①流通改革の実現、②CRMの推進、③事業領域の拡大、に取り組んでまいります。 「流通改革の実現」においては、脱委託・買切志向の出版流通改革をさらに推し進めて、業界三者の利益を最大化することを目指します。 「CRMの推進」においては、Honya ClubおよびHonya Club.comを基盤として読者へ積極的にアプローチをして、店頭の活性化を実現してまいります。 また「事業領域の拡大」においては、新たな需要を生み出す商材や事業の開発に、グループの総力を挙げて臨むことを目指しています。
主要施策の進展
出版流通改革
日販グループの出版流通改革が目指すゴールは「2015年までに行き過ぎた委託制度を返品に制限のある制度に置き換え、書籍の返品率25%を達成し、得られたプロフィットを分け合うことで出版社様の損益構造改革、書店様のマージンアップを実現」することです。 2010年4月から締結を開始した「PARTNERS契約」も3年目に入り、規模の拡大・内容の拡充を図っています。現在までに契約店のシェアは関連会社 である㈱MPDのチャージ契約と合わせると、76%となりました。また出版社との契約締結については、今期中に50%超のシェアを目指しています。 返品減少を実現するために「PARTNERS契約」に付随して、書店自らが新刊を事前注文できる「アドバンスMD(=新刊申込)」や、書店のニーズに合わ せて追加発注オペレーションを日販が代行する「リリーフエース(=発注代行)」といったサービスメニューも用意しています。 また出版社とは、今期から新たに「High−Profit契約」をスタートさせました。High−Profit商品とは、書店の実質マージンが最大で 35%を超える商品群を指しており、今期上半期ですでに400点以上をリリース、今期中に1,000点のリリースを目標としています。2015年までには これを10,000点規模とし、書店の売場の3割程度を高マージン商品にすることを目指しています。
Honya Club & Honya Club.com
読者の購買動向を把握し、取引先支援につなげるCRMプログラム「Honya Club」は、加盟書店が340店となり、会員数も505万人を超えました。 昨年夏に開設した書籍通販サイト「Honya Club.com」は、6月に、発売前の本を予約→発売当日に店舗受け取りが可能になるサービスを開始しました。これによって全国1,900店の書店で、発売前にサイトで予約した商品を送料無料で受け取ることができます。 また10月からは「ほんらぶプロモーション」と称して、出版業界全体の活性化と「本」そのものの価値を高めることを目的とした取り組みをスタートさせまし た。「ほんらぶプロモーション」においては「3 SPECIAL BOOKS」という特別サイトを開設しました。このサイトにおいては一般の読者はもちろんのこと、作家や編集者、タレントなどが「トクベツな3冊」を登録し、それぞれが本に対する思いを共有することで、本好きの人たちをつなげています。
“祭り”企画〜ほんらぶ祭り・本気祭り
最近の売上の低迷は、客単価の低減ではなく、客数の減少、買上率の減少によるものだということが分析の結果、判明しました。売上アップに向けては、読者を店頭に呼び込むこと、買いたくなる仕掛けづくりが必要となってきます。 そこでこの度、来店客数の増加、買上率の増加に向けて、店頭において“祭り”を展開することとなりました。 Honya Club加盟店においては「ほんらぶ祭り」と称して、ポイントラリー、雑誌の定期購読サービス、店頭でのチラシ配布、抽選会などを展開していきます。一 方、Honya Club非加盟店においては「本気祭り」と称して、上記のポイントラリーに代えてスタンプラリーを行います。この“祭り”によって店頭の活性化を図り、年 末年始の商戦を盛り上げて行きます。
「本の超特Q!Quick Book」における雑誌バックナンバー全点在庫
11月から客注品のお取り寄せサービス「本の超特Q! Quick Book」において、雑誌のバックナンバーの在庫を大幅に拡大し、日販の仕入銘柄全点を取りそろえています。分冊百科やNHKテキストなどの売れ行き良好 書はもちろんのこと、婦人誌やホビー誌、洋雑誌や医書雑誌まで、幅広い雑誌のバックナンバーを在庫し、書店の利便性を高めると共に、読者サービスを充実さ せています。
新・POSレジシステム「NP」発売
11月から新しいPOSレジシステム「NP」を発売しました。これは、通常のレジ業務はもちろん、JANコード商品の単品管理システムと連携し文具・雑貨 等の管理が簡易に行える、Honya Clubのポイント機能を標準で搭載、寿命が長く衝撃にも強いSSD(ドライブ装置の一種)を内蔵、といった特長を備えています。
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