「2014年度 日販懇話会」開催
日本出版販売株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:平林 彰、略称:日販)は、5月13日、東京ドームホテルにおいて「2014年度 日販懇話会」を開催し、取引書店をはじめ、出版社、日販関係者あわせて448人が出席した。「日販懇話会」は、日販の経営計画やさまざまな施策などについて理解を深めていただき、取引書店・出版社と強いパートナーシップを築くことを目的として、毎年開催しているものである。今年度は平林社長と若手社員2名が、2014年度方針のプレゼンテーションを行った。
2014年度方針としてまず「出版流通改革 ゴール到達に向けて」と題し田中浩平 書籍部書籍総合推進課係長が説明に立ち、「書店様の意思を反映する新刊仕入」「返品減少&マージンアップ 書店様の取り組み」「高マージン商品の拡大」について発表した。続いて「Base+1(ベースプラスワン)」と題し西村麻友子CRM事業部CRM企画課課員が説明に立ち、リアル書店ならではの魅力ある店舗を創るための「サービスコミュニケーションを増やす」「五感で楽しめる事を増やす」取り組みについて発表した。
2つの方針発表に続いて、平林社長より今年度の取り組みを3点にまとめて報告した。
(1)SCMの構築
「日販は2001年にwww.projectを発足して以来、業界三者を結ぶ『SCM』構築に取り組んできた。まず既刊本の取り組みでは、販売機会の最大化と売れ残りの極小化の2点をポイントとして実施してきた。販売機会の最大化では、店頭の品揃えをよくするために『基本在庫』や『ロングセラーMD』などの提案によって、店頭充足率を高めていただく。そして、売れない商品を店頭から外し、売れる商品に変えていくことである。一方、売れ残りの極小化ということでは、日販は書店様のバックヤードとして、必要な冊数だけ店頭に置いていただき、品切れをさせないための商品供給体制を作っていくことである。そのために在庫の質・量を拡大し、『QuickBook』や『スーパーQuickBook』などのサービスにより、送品のスピードアップを実現している。
新刊においてもSCMの構造を作るべく『アドバンスMD』を実施し、販売機会の最大化、そして売れ残りの極小化を実現していく。新刊のSCM構築に重要なことは『書店様の意思を反映する』『品切れを防止する』の2点だと考える。書店様の意思による仕入、すなわち書店様の目利きや売り切る思い、そしてこれを売ろうという売場展開があるからこそ商品が売れるということである。品切れを防止するという点では、日販にも新刊在庫を取り置き、売れた書店様に売れた分だけ送品する仕組みとした。初回配本後に売り切った書店様への補充に日数がかかっていたが、日販在庫から適量出荷して補充することで品切れを防止し、販売機会を失わず効率化するものである」
(2)書店様の利益を増やす
「出版流通改革の取り組みを始めて6年目になった。効率販売と需要の創出が2つの柱となっており、SCMがそれを支えるという構造で進めてきた。そして、効率販売と需要の創出によって生まれたプロフィットを業界でシェアしていくことである。引き続き、『PARTNERS契約』『High-Profit企画』『PPI』などの形で利益を還元していきたい。
加えて日販は店頭の客数アップにも取り組んでいる。客数アップは来店動機を増やすということであり、五感に訴求する売り場を作ることだと考えている。これはリアル書店にしか出来ないことである。読者・消費者がワクワクするようなこと、新しい発見が出来る場所を作っていきたい」
(3)2015年ゴールステートメントの達成に向けて
「2014年度は、書店様とともに返品率25%に挑戦していきたい。既に56法人の書店様より、ともに挑戦すると宣言いただいており、今後はその数を日販の書籍売上の50%超となるまでに増やしていきたい。そして持てるリソースをフル活用し、この目標達成に向けて邁進したい。
2013年度売上概況については、日販単体決算では、残念ながら減収となる見通しである。特に雑誌の減収が大きくなった。一方、返品率において書籍は僅かながら改善できたが、雑誌は書籍を上回る返品率となった。
また4月期の店頭POS売上状況については、雑誌・書籍はマイナスであり、コミックはプラスであったが、全体ではマイナスとなった。消費税増税による影響はないと言い切れないが、これを跳ね返すような施策を講じていきたい」
最後に「富士フイルムの経営改革とリーダーシップ~魂の経営~」と題して、富士フイルムホールディングス株式会社代表取締役会長兼CEO 古森重隆氏を講師に招き記念講演会が開催された。会はその後懇親会に移り、参加書店・出版社と交流を深めた。
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