2020/2 出版流通学院

「減少が続く書店」など日本の書店数に関するニュースが多くなっておりますが、日本全国にある書店の店舗数を調べるにはどんな方法があるのでしょうか。

調査にはいろいろありますが、それぞれ調査方法や集計方法に違いがあります。

自分の知りたい、調べたい内容にあったものか見極めて活用することも大事なことですね。

今回はいろいろな調査資料の特徴についてお話します。

統計資料のスタンダード「商業統計調査」が終了?

調べものをするときの定番と言えるのが、経済産業省が発表している「商業統計調査」です。

この集計項目には、産業細分類(4桁)「書籍・雑誌小売業」という項目があり、これがほぼ日本の書店数とされています。
ちなみにその一つ上の集計区分の産業小分類(3桁)では、これに「文房具店」が含まれる事業所数となってしまいます。


ですので、「リアル書店」の件数を調べる目的で「商業統計調査」を使う際には、産業細分類の「書籍・雑誌小売業」の項目が適していることになります。

そんな使い勝手の良かった「商業統計調査」ですが、2019年から「経済構造実態調査」に統廃合されることになりました。
調査結果の公表が2020年3月以降となっているので、どのような集計になるのか注目ですね。

出版業界で作成している「共有書店マスター」って?

(一社)日本出版インフラセンターが管理している「日本の書店データベース」で、出版社や取次が協力して新規出店・改装・帳合切替・閉店などの情報を入手次第、更新しているものです。

ホームページでは「店舗数推移」という情報が公開されており、そこには「総店舗数」「坪あり店舗数」「坪数計」が公開になっています。

つまり、取次と契約していて、レンタルなどの複合店を含む店舗数の集計という事になります。
坪数に関しては、「本」以外の売場も坪数の集計対象になることは留意点ですね。

なお、「共有書店マスター」の詳細な情報は会員向けとなっています。

では、、、「本」だけの店舗数や坪数を知るにはどうすればいい?

私ども出版業界の中の人としては、「書籍・雑誌」のいわゆる「本」の動向が重要なため、「本」だけの売場坪数を知る必要があるのです。(笑)

それが弊社が1973年から毎年発行している「出版物販売額の実態」という統計資料で、文字どおり出版物の販売額を集計しています。

この冊子には、書店の店舗数と坪数の10年間の調査があり、「都道府県別」だけでなく、「都市別(市単位)」の調査もあります。

「都市別」には、店舗数だけでなく図書館や学校、文具店の軒数まで掲載している統計資料になっています。

いろいろな街の書店の数を調べたい時は最適です。

『出版物販売額の実態』の概要は ▶

コラム『出版物販売額の実態2019』本の売場が増えたのはこの6県 ▶

まとめ

書店数の調査にもいろいろありますね。
ちなみに、書店数調査で最も古いのはいつからあるのでしょうか。
調べたのが下記です。

「商業統計調査」を発表している経済産業省のHPでは「時系列」データとして、産業細分類集計のもので1972年からありました。

「共有書店マスター」は、管理している日本出版インフラセンターの設立の2008年からです。

「出版物販売額の実態」の書店数調査は2001年から毎年発表しています。

 

昨今話題に事欠かない「書店」さん。

あなたの街には書店さん、何軒あるでしょうか?
「出版物販売額の実態」で調べてみてはいかがでしょう?

書店さんが減っているのは時代の流れかもしれませんが、さあ、今日の帰り道には書店さんに寄り道してみませんか?

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